漫画レビュー~遠藤ってば!~

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坂道のアポロン

                律ちゃんを泣かせる奴はこの俺が許さないという厨ニ発言

■昭和のノスタルジックな良質青春群像劇■

「坂道のアポロン」
作:小玉 ユキ
連載:flowers (小学館)
定価:¥ 420


ストーリー:★★★☆☆

画力:★★★★☆ 

キャラクター:★★★★★ 

構成力:★★★★☆ 

遠藤のツボ:★★★☆☆ 

                              総合:★★★★☆

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
出版社からの引用をそのままさせていただくと次のようになります→「恋と友情と音楽。思春期というものは、いつの時代も眩しくて少し苦い。60年代後半、地方の町を舞台に、ナイーブ男子とバンカラが繰り広げる直球青春物語」それが今作、坂道のアポロンです。田舎に転校してやってくることになった西見 薫(にしみ かおる)、家柄から好奇な目で見られる中、出会った男・川渕 千太郎(かわぶち せんたろう)だけは違いました。一見するとバンカラな大男で正反対な2人に思えましたが、意気投合。千太郎の幼なじみ・迎 律子(むかえ りつこ)を交えて3人の青春群像劇は懐かしい時代背景の中で進んでいきます。

~レビュー~
はいはいまたメジャーな作品をレビューする遠藤さんと思われた方がいるかも知れませんが、面白い作品をレビューして何が悪い!(裸で何が悪いネタ)というわけでどうやらこの作品、毎年宝島社が発行している漫画の紹介本で女性編の第1位を獲得した作品らしいですね。
2008は買ったんだけど、2009買ってなかった!(笑)でも今更買っても恐らくどれも読んだ後の作品そうでという私事はこの辺りにして。




その1位というのも納得の丁寧な作りで、キャラクターの心情表現も巧みに鮮やかに描きますし、良作には付きものの少女漫画でありながら男性描写が優れている(勝手な個人の観念)もオールクリア、画力も極めて高く、総じて水準の高い少女漫画でありつつも男女関係なく読める良質な青春漫画という気兼ねを感じます。
粗がないというか、展開やキャラの相関図などは王道でありながらも、読者に安心した青春の響きを伝えてくれる丁寧なキャラの心情表現の描き方を基軸とした理想のバランスの作品だと思います。

光の海とか羽衣ミシンなど含め短編作品は総じて傑作だった印象を持つのですが、評価されるべきしてされている作家さん、作品と言ってしまっていいでしょう。

今回のレビューでは青春漫画を読むうえで高揚感を高めてくれる台詞回し、見事の一言であるキャラクターの心情表現の合致を中心に魅力を伝えていければと思います。




ってわけで、前置き長いのはいつも通りですがこの辺りにしておき、実際にみていきましょう。
あらましの続きになりますが、60年代の時代背景です。
この年代に生まれて青春を過ごしたわけではないので、描写感はどうなんだというのに言及することは出来ないのですが、描写としてその年代の空気というのが強く全面に出てくるわけではないのかなという印象を持ちました。巧く雰囲気に留まっていると言えるのかなと。
ただどこか古き良き懐かしい日本というような空気が滲み出る作りにもなっていて、安直な言葉になってしまうならばノスタルジックな感慨を覚える世界観を構築している点は巧いの一言。
作品の世界観をしっかり描けるというのは基本のようで難しいとか言うのは漫画家でもないのに推測でものを言ってサーセンではあるのですが、世界観無視でキャラの相関図ばかりに焦点があたっている少女漫画って多いと思うんですよね。
もちろんタイトルは挙げきれないほどに多いと思います。
何故この年代なんだろうってなった時に今とは違う別の次元の、ファンタジーのようなとは作者も触れていらっしゃる点ですが、凄い新鮮に映るのは描写をきっちり丁寧に描けているからなのでしょう。

主要登場人物はあらましで確認いただくとして、田舎に越してきた薫が読者を掴むのにはそう時間はかからないと思います。
好奇な目に晒される中で努めて冷静に距離を置こうとしようとしていることが独白から語られます。
父の職業柄から転校は日常茶飯事、転校のストレスから吐き癖がついてしまっている描写が差し入れられたりと最初の印象だけで読者を引き込むのがうまい。
そうした中で毎度の流れと言い聞かせようとした所、出会うことになるのが千太郎です。端的に言い表すならばバンカラというのは的を得ている表現なのですが、よく言う表現をもう一つするならば同性も惚れるような男気溢れる人物として描かれます。
千太郎と出会うことで薫の何かが変わる、そう読者に予感させる空気感を情景とともに描ききっており、この辺りのセンスは飛び抜けて良いです。

おら、わくわくすっぞ!

さて、ここにもう1人主要人物が絡んできます。
千太郎の幼なじみで転校当初からクラス委員ということもあって薫に優しく接してくれていた純粋な女の子、律子です。
そばかす顔がチャームポイントといえる彼女ですが、薫の心を次第にほぐしていく存在になります。
ぶっちゃけると当初はそばかす顔で田舎臭いなぁーこりゃ期待出来んとか勝手に思ってしまったことをここに告白しておきます。

何たる見誤り。

昨今の萌え漫画然り外見美少女に毒されてると言わざるを得えない思考だったことを反省する次第です。
健気で薫に言わせればまるで天使のような律子なんですが、この時代背景だからこそ最大限映えているとも言えるような慎ましやかな大和撫子のような女性です。

さて、作品の流れは薫が薫でいられる場所というのを見つけていき、千太郎が趣味で行っていたジャズ演奏の繋がりで2人の青春を傾けていく青春漫画になっていきます。
若干、音楽系青春ストーリーな感じでしょうか。
こう言ってしまうとストーリーの厚さというのはありきたりな印象を持ってしまうかも知れませんが、特出しているのはやはり登場人物のやりとりと心情表現の妙にあるといえます。
薫と千太郎は互いを認めてはいるものの本気で向き合っているため、衝突も絶えません。
お互い口下手というのも萌える展開。
互いが衝突する時、その心情がとても鮮やかに描かれるため、読んでいて胸が苦しくなったりこれまさにおかわり三杯状態と言わざるを得ません。
そして衝突する度に絆も深まっていく。
青春漫画としてこれ以上ないくらいの至福な展開をきっと感じることが出来るでしょう。

そしてそのフォローもしっかりされているのが追随を許さないような抜け目なさでしょう。
2人の生い立ちにまで切り口を入れ、読者の心に揺さぶりをかけて共感意識を高めている点はにくい演出。

一言で言えば人物がこれ以上ないくらいに活きているということなのでしょう。

そして忘れてはならないのが恋愛描写。
少女漫画なわけですから、らしさを出しながら展開されていくわけですがこれがまた良い。
かなり王道というか黄金パターンなのですが、薫は次第に律子に恋心を抱いていきます。
しかし当の律子は幼なじみで一番身近にいる千太郎に淡い恋心を抱いている。
その千太郎はというと上級生の美女で2巻以降物語にも大きく関わってくる深堀 百合香(ふかほり ゆりか)に恋心を覚えてしまうんですね。
はたまたその百合香もまた……という具合にこれでもかというくらい一方通行な恋愛描写。
その中で互いが想いを馳せる美しさや悩む描写は古くさい言葉になれば胸キュンですね。
全員片思いさせとけば切なくなっていいだろとかいう問題は全て描写力にかかってくると思うんですよね。ハチクロ然り丁寧で透明感ある描写力を持っていないとなかなか読者には伝わってこない。

不良と優等生の図柄とか一方通行の恋愛模様とかどれもどこかでみたことあるような展開や人物像だったりするわけですが、それをどう読者に魅せていけるかは作者の力量次第であって、それが特出して上手いというのが総じて抱いた点です。

特に台詞回しやコマのインパクトなどは漫画家毎のセンスになってくると思うわけですが、そのどれもが感慨を覚えるような今作。
透明感あるとは上記で挙げましたが、嫌味のない自然なものに仕上げているからこそスッと心に響くのかも知れません。

例えば1巻で言えば、薫と千太郎の関係がまだ距離感が掴めていない状態で、千太郎は「俺(おい)の友達」とさも当たり前のように言い放ったり、意識しない表情でそれをさらりとやられたものだから薫も意表を突かれるわけですが、全くあざとさがない。
2巻でも何気ない言い合いで互いに笑いあう中で薫の独白は「何楽しい気分になってるんだ」と疑問符をつけつつコマで描かれている屈託のない笑顔が映えています。
挙げれば切がありませんがどの場面でも裏表を含まない本音を登場人物達はさらけ出しますし、言葉には発しなくても表情や間(ま)で繊細に伝えることもあって、感情に訴えてくる凄みと重くなりすぎない構成、そして透明感ある描写とどれもがギリギリのラインで巧く溶け込んでいます。





さて、そろそろまとまったのでレビューも終わりに入りたい所ですが、個人的な話をしてしまえば百合香先輩が好きな相手を薫にしてサイクルを作ってほしかった気持ちがあります。
皆まで言うな、まぁ言わせて下さい(笑)
この思考こそ萌え悶え漫画に毒されていると言わざるを得ないわけですが、ちゃんとした輪として構成されているともう少しにやけ度が上がったかなとは個人的に思っています。
まぁ話の流れ上は関係性を輪にしてしまうと作品の広がりを邪魔するかなとも思うのでこのままで良かったとは思いますが。
やはり先輩の美女っぷりはある種、読者(男性読者、強いては私だけかも知れんですがw)の求めている外見ではあると思うんですよね。
どこか飄々としていて掴み所がないクールな側面があり、可愛らしい面も備えており一見するとメシウマ描写。
でも主軸の輪を外れているが故にサブキャラになっているというかキャラとしては薄れているのも否めず、外見や性格付けは完璧なのにイマイチそれこそ噛ませ犬のような存在で生かし切れていないように感じました。
この感じでいくと二桁前後でしっかり完結してくるような道筋にはなっていますが、今後はジャズの要素がどれくらい入るかでしょうか。
のだめのような主軸としての音楽漫画ではない以上、雰囲気として現状くらいの描写でいくのはありだとは思いますが、どう広がっていくのかは可能性無限大だと思うので、展開がどうなるかに想いを馳せながら次巻以降を待ちたいと思います。
友情・恋愛・音楽、バランスはお見事。なんだかんだでこのジャンルの面白いと思える作品は登場人物の心情表現などを丁寧に描いている作品が多いですね、それでいて画力があるとなおさら。
私個人としてはまだ深い恋愛のあれこれに話が踏み入っていない印象を持つので、もっと揺さぶる描写を求めたい所です。
ただ、まだまだ山場はいくつも残されている印象で、山場の度に心が締め付けられるような甘苦い感情を伝えてくれるのだと思うと期待は高まるばかりです。
少女漫画を普段読まない人も作品の骨格がしっかりしている青春漫画とすれば男女関係なしにガッツリ楽しめると思います。
話題になるのと作品の中身の良し悪しは必ずしも=にはなり得ませんが、今作に限って言えば漫画好きなら安心してオススメ出来る間口の広い作品だと思います。
処女作だったり単行本として続く作品になるのは初めてだったりする勢いのある作家さんが増えるのは本当に喜ばしいことだと思いますっ!wktkしっ放し(ノ´∀`*)

そういえば余談にはなりますが、丁度レビューしたこの時期は私の地元ではけやき並木の通りでストリートジャズフェスティバルが毎年開催されています。友人が毎年参加しているのですが、毎年聴きにいくのが楽しみです。
えーそんだけーw
2009年09月16日には坂道のアポロンのオリジナル・サウンドトラックが発売になります。ジャズの名曲が収録された1枚になっているようで、この機会に普段ジャズを聴かない人も漫画の世界とジャズの音楽を通じて同調していくのも面白いかもしれません。

※このレビューは4巻まで既読時のレビューになります


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Date:2009/09/11
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