漫画レビュー~遠藤ってば!~

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                久美ちゃんの成長をお父さんのような目で見守りたい

■自然と向き合う、優しさと厳しさ■

「岳」
作:石塚 真一
連載:ビッグコミックオリジナル (小学館)
定価:¥ 550


ストーリー:★★★★★

画力:★★★★☆ 

キャラクター:★★☆☆☆ 

構成力:★★★★★ 

遠藤のツボ:★★★☆☆ 

                              総合:★★★★☆

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
山に魅せられた男、島崎三歩。若くして世界の巨峰を登頂した後、三歩が選んだ道は日本での山岳救助ボランティア隊員でした。山を愛する人すべてに捧ぐ、そしてまた普段自然と触れ合う機会があまりない人にも是非読んで自然と向き合って欲しい、山岳救助物語です。

~レビュー~
1巻からここまで引き込まされた作品は久しぶりでした。

簡潔にまとめるならば、主人公の山岳ボランティアの各エピソードを、過去の主人公の事例を振り返りつつ涙を誘うグッとくる演出で1話1話上手くまとめているといった所でしょうか。
ひとつ注意しておきたいのは、山岳救助を描いているため助かる人もいれば助からない人もいて、それが同じように描写されるということでしょう。
そしてその描写も真正面から淡々と描かれます。
それはまるで山、もっと大枠で捉えるならば自然の美しさと人の命を簡単に奪い去ってしまう自然災害の厳しさがありのままそこにあるのと同じようです。
むしろ作品内では助からずに亡くなってしまう人の割合の方が多いかもしれません。

さて、この作品は他の漫画のジャンルとしてよく目にするレスキュー物ではない、という点は知っておかなければなりません。
主人公の三歩はまさに山のスペシャリストであり、どんな状況の救助も最善の選択を最悪のコンディションでもこなします。
山のガイドとしての主人公、これはレスキュー作品(描かれる側面という意味で)としてではなく、ドキュメンタリーとしての側面から読み手である読者がどんなことを胸に想うのか、そこから感受性を、心を豊かにしていけるかに焦点が置かれているような漫画なのではないかなと思います。

そういうことになると如何に読者に考えさせれるか、心に残せるかというものが作品を伝達する上で必要になってきますが、この作品はその伝えるという点においてとても素晴らしいポテンシャルを持っています。

それはひとえに厳しい事故の現状を、それこそ極限状態での命の選択をこれでもかというくらいリアルに描写している点に拠る所が大きいかも知れません。
実際、生半可な描写で作者の思いを伝えようとした場合、読者までは届かないと思うんです。
極限状態での人間ドラマとしての側面をリアルに、丁寧に描いているからこそ読者にまできちんと作者の想いが届く。
そして届いた想いは千差万別の感じ方として読者に広がっていくわけです。
この構図をしっかり成り立たせられるということが漫画としてどれだけ難しいか、逆に言えば成り立たせられるということが如何に凄いことなのか、萌え漫画が氾濫する現代においては想像に難くないと思います。

※萌え漫画が駄目と言っているわけではないです、管理人も萌え好きですし

そして、普段山を知っている人知らない人どちらにも読む上で幅を効かしている点は見逃せない点です。
登場人物の構図として、山の描写に詳しくない読者代表の目線として県警の山岳遭難救助隊に新たに配属することになった新米隊員の女性の成長が描かれます。
この隊員の葛藤と成長自体もとても上手く描写されるのですが、読者が思う疑問を三歩にぶつけていき(言わば問答)、返される三歩からの言葉はそのまま読者にまで響くようです。

そして山を知っている人に対してはその視点の役目は主人公である三歩が担います。
豊富な登山経験と技術、知識はひとえに作者の経験からきているようです。
登山家でもある作者ということで、確かにあそこまでリアリティを追求した描き方を資料を調べただけで表現出来ているとは思えなかったので納得しました。

でも再三の内容になってしまいあれですが、登山家で経験が豊富であれば漫画家としても同じように表現できるのかといえば決してそう簡単なものではないと思いますし、本当に作者は凄いの一言です。


絶賛ばかりでは下手にハードルを上げてしまいますので気になった点も。
ストーリーが淡々としているため、人間臭いドラマから見る感動というものは得にくいかも知れません。どのエピソードも似たり寄ったりな面があり(それでも飽きるレベルではないですが)、受動的に良さを体感するのは難しいかも。
でもどう難癖がましく作品を読んでも、つまらない作品だなんてことにはなり得ない漫画としての良さがあると私は断言したいです。
漫画好きの人であれば必読の1作なのではないでしょうか。


さて、ここからは個人的に魅力を感じた点なども。
阿久津さんという男性新米救助隊員がいるんですが、この人が好きになる女性がいるんです。
ストーカー紛いの行動をしつつも(笑)、彼と彼女がどういった展開を見せるのかにも注目してもらいたいです。
そしてその彼女の献身的な姿!

阿久津、その女性は俺がもら(ry



ということでレビューはお終いですが、この作品を読むと山に登山をしに行きたくなりますね。
どこかで登山などしにいきたくなくなるみたいなことを見て、いやいやと突っ込んだ自分ですが、作品内で自然の厳しい描写があっても山を愛して止まなく、過酷な目に遭ってもまた登山をしにいく人々の気持ちがよくわかるようです。
ここからはレビューとは関係ない昔話ですが、余裕ありましたらお読み下さい。

思えば私が登山をしたのは人生でまだ1度きりで、1500mくらいの山なんですが、登ってる最中は息も切れ切れで帰りたいって頭ばかりでした。
でも頂上に到着した時は本当清々しいの一言で、さっきまで辛い思いばかりしていたはずなのにこの感動や湧き上がる気持ちは何なんだろうなと思っていました。
と同時に持っていった水筒の水はこれでもかってくらいおいしかったですね。
下山時に汲んで飲んだ沢の水は今思えば人生で口にした飲み物の中で一番おいしかったような気もするし、本当に自然と向き合うって感じでした。
たかが漫画、されど漫画……、岳を読んでまた時間に余裕が出来たら登山してみるのも悪くないなと思わせられ、漫画の可能性を再認識するのでした。

※このレビューは8巻まで既読時のレビューになります


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Date:2009/02/02
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