漫画レビュー~遠藤ってば!~

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宇宙兄弟

                せりかさんだけしか美人いねぇじゃねぇかwというボヤキ

■より現実的視点を追求した宇宙漫画の快作■

「宇宙兄弟」
作:小山 宙哉
連載:モーニング (講談社)
定価:¥ 580


ストーリー:★★★★☆

画力:★★★☆☆ 

キャラクター:★★★★☆ 

構成力:★★★★☆ 

遠藤のツボ:★★★☆☆ 

                              総合:★★★★☆

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
幼い時分、宇宙に夢を馳せた兄弟がいました。兄を南波 六太(なんば むった)と言い、弟を日々人(ひびと)と言います。兄の六太は弟想いで機転が利き思慮深く、弟の日々人は面倒臭がりながらあっけからんで豪快な性格。時は流れて2025年、日々人はNASAの宇宙飛行士となって月を目指すまで夢を掴み掛けていましたが、六太は自動車設計会社員で、賞をとるようなデザイナーにまでなっていましたが、弟の悪口を言い放った上司への頭突きが原因で退職。そんな六太に宇宙飛行士選抜の募集の知らせが届きます。31歳、夢を掴むチャレンジが始まるのでした。

~レビュー~
先日7巻が発売されまして、丁度良い機会ということで便乗でレビューさせていただく運びになりました。
タイトル、宇宙兄弟です。
表紙画像で言うと右側のアフロな人物が今作の主人公・六太で、左の金髪で短髪の人物が日々人です。
他に宇宙を題材にしている漫画というと近年では「度胸星」や「土星マンション」、「ふたつのスピカ」に「プラネテス」、「MOONLIGHT MILE」などが私の読んできた漫画では思い起こされるわけですが、今作のイメージはそれらの作品よりも現実嗜好的であるという認識でいいと思います。
ちなみに今列挙した作品はどれも面白いのでオススメ、今後レビュー出来たらしたい作品群です。


端的に言うならば、弟に比べて夢を諦めかけてしまった兄のサクセスストーリーが展開されるのですが、これがまず宇宙がどうとかを抜きにしても読ませる内容だなと感じたのが私の第一印象でした。
ストーリーの作り方や構成が一定以上のレベルに保たれているのに加え、宇宙という題材はしっかり取材を重ねた上で表現していかないと面白さを提示することは難しい中で、これがまた良く描かれています。
瞬間的な面白さは少ない作品だと思いますが、じわじわ面白い、そんな作品かなと。

誠実な作品。



さて、抽象的な話はこの辺りにしておいて、作品をみていきましょう。
兄と弟のギャップから、くすぶっている兄がどう成長していくかという所に起点を置いたのは上手いなと思います。読者が感情移入しやすい。そして描かれる六太の性格も実は才気があるけれど抜けている所もあってと親しみの持てるお茶目な人物として描かれます。
となると肝心の弟は?となるのですが、弟は弟で今も兄が自分と同じ宇宙飛行士になることを信じて止まず、むしろそうあるべきだという信念すら感じさせます。
兄弟愛という言葉を使ってしまうとちょっとねっとりし過ぎかも知れませんが(笑)、確執など負の側面がないことで読者に気を重くさせない構成になっています。


無職となった六太でしたが、そこに舞い込んできた宇宙飛行士選抜の募集。日々人が弟なりのアプローチで六太にこの知らせを届けるというのも背中で語る兄弟の会話な感じがまたにくい演出です。
この募集に対して選抜試験に望みをかけることになった六太の奮闘が現在もなお描かれているという所で作品の概要は把握いただけたかと思います。

じゃぁ作品の魅力って何なんだってなった時に個性的な魅力があると思っています。

やはり肝としての人間ドラマの深みが見事という点でしょう。
選抜試験を受けることになった六太でしたが、当たり前ながらライバル達が次々と登場します。
無論1次試験、2次試験と駒が進む中で淘汰されていくのですが、登場する人物達の何たる人間味。
試験内容に関する魅せ方もハラハラドキドキの連続で飽きさせない構成になっていますが、皆が皆、それぞれ宇宙飛行士になりたいと思うそれぞれの強い理由を胸に抱いているのがひしひしと伝わってきます。
もちろん宇宙飛行士というのは職業上、死と隣り合わせの世界であるからして、それに沿った命をあずけられるかに焦点を置いた試験内容が展開されるのですが、キャラが活き活き動きます。
ライバルでありながら絆を深めていく展開も静かに胸を熱くする要素ですね。
どういった展開がなされるのかは実際にお読み下さいとしか言えませんが、キャラが映えていて構成もお見事、良質な人間ドラマをきっと体感することでしょう。

そもそも主人公の六太は三十を過ぎて、これから夢に向うには……と思ってしまう所で奮闘する姿を見せるわけで、夢を諦めてしまった人々への応援歌としてとても人間臭く、素敵な想いを読者に届けてくれるのではないかと思うばかりです。

死と隣り合わせと上で挙げましたが、度々受験者である六太達はその側面を考えさせられることになります。
登場人物達が様々な思考を見せる中で、宇宙に馳せている読者らもまた宇宙の様々な側面を考えるでしょうし、また興味を持っていくには十分な架け橋として今作は現実的な宇宙の魅力を語ってくれているように思います。


また人間ドラマの様相が中心になると重くなりすぎないか、などの問題が起り得るわけですが、今作に限っては心配無用。
所々でユーモアを感じる描写が差し入れられ、むしろギャグ漫画的なポテンシャルすら感じる程なので作品のバランスはかなり良いかなと思います。
特に六太の観察眼や独白は笑いのセンスやよし。
時折口にする恥ずかしい宇宙への情熱を含めて三枚目感が笑わずにはいられません。

で、これは賛否思われている側面かも知れませんが、今作はとにかく潔い。
展開が全てポジティブだし、癖の強い読んでいて不快にさせるようなキャラもいない。
ひたすらキラキラした宇宙飛行士という夢を掴む為に巧みな人間ドラマを扱って爽やかに描写されているのです。
瞬間的な面白さは少なく、じわじわ面白い作品だと最初に言いましたが、人によっては作品を通してのアクの強さをもう少し求めたくなる気持ちになるでしょう。
これというのはどういったタイプの作品が好きかという趣向の問題かも知れないので、だから作品として×というような話ではありませんが、作風上そういう側面があると私が思っているということで留意事項に留めていただけましたら幸いです。
何やら作品は通して平和な安心感が根底を支えているという感じで刺激分少なめです。




やはりハートフルな気持ちにさせてくれる主人公・六太や登場人物達の想いが交錯する人間ドラマとしての良作、そんな風に思います。
とりわけ主人公・六太は読者が読んで共感出来得る人物としてはこれ以上ないポテンシャルで描かれており、一番の肝であるこのポイントがずば抜けて描写◎なのは万人が読んで面白いと思わせる要因になっているように感じました。
六太が独白をする際に一人称が「私」であるのもどこかふっと哀愁を感じさせてくれるような距離感を演出しており、私は気に入っています。
弟との関係も先へ先へと言ってしまう弟を見る兄の心境など、これでもかというくらいに人間ドラマの王道もとい真髄を表現している作品ではないでしょうか。

作品全体として緩いというか平坦な感じも受けるのですが、時折登場人物達が熱くなるシーンや真面目路線と思いきや所々にユーモアのセンスが溢れていたりだとか、とにかくバランスの良さが際立ちます。

強いて言えば萌え要素や恋愛要素は薄いってレベルじゃねぇぞ!ということでしょうか。

流石の恋愛脳の自分も今作にそういった要素は求めませんが、同じ選抜試験を受けることになるヒロイン的位置付けの美女以外にそういう要素は皆無に等しい。
普段そういった作品に飼いならされている私を含めた読者の皆さんにとっては、良さそうでいておまけで止められてしまう今作のその雰囲気に落胆の色は隠せないのではないかと。

せりかは俺の嫁

うん、誰もが思ってそうw

なんだかんだ言ってきましたが、手にとって読めばあぁー面白いという感じで最新刊まで手が伸びてしまう魅力があると思います。
ただここまでの流れは非常に安定して面白いのですが、兄が宇宙飛行士になって弟と仲良く宇宙開拓という誰もが想定し得る流れになるのかとかやはり弟の日々人には死亡フラグが立っているのかとか今後の展開がどうなるかは非常に大事になってくるように思います。
連載当初から日々人の死亡フラグは各所で囁かれていたと思いますが、クライマックスにそれをもって来たからといってあぁやっぱりなという気兼ねは持ちません。
読者の想像の斜め上でお話を展開していって欲しいなと思うばかりです。
というのは、決められた枠組みの中で面白さを活かす道筋の作品なだけに、そうした中であっ!と思わせるギミックもあったらうれしいかなという私の想いではあるんですが。
まぁしかしこのまま六太が宇宙飛行士になる流れが想像出来るのがどうかというよりも、その道筋が如何に語られるかが重要なわけで、その魅せ方は現状見事であることは言うまでもありません。

ついでの形で私の感じたことを言葉にしておくならば、今作って漫画が好きな人に好かれるような作品だなぁと感じます。ようするに私みたいに色々漫画を漁ってある程度の数を読んでいるという意味での漫画好き。
色々なジャンルの作品(私なんかはまだまだ視野が狭いですが)を読んでいるとこうした正統派で骨組みのしっかりした作品ってのはあぁ面白い漫画ktkrって気分になり易いかなって。
地味といったら地味な作品だと思いますが、題材を丁寧に扱っている作品は総じて面白いものです。
今作でいえば宇宙飛行士になる過程と現代から少し先の宇宙に関する距離感などその描写は丁寧の一言でしょう。

あぁ、でも。

面白いと感じる要素にも色々ありますが、一番は根源の人間ドラマがしっかりしているかどうかなのかも知れません。
どの作品にも共通してますね、これは。
そういう意味では今作は数多くの漫画の中でも群を抜いているからこそ各所で絶賛されているのかも知れません。
漫画という読み物としてまとめてくるセンスが非常に高いってことなのかな。


さてさて、ネットにある程度関わっている人であれば聞いた事のあるフレーズだと思いますが、

「宇宙ヤバイ」

うーん、ロマンがあります。
宇宙の話題が大好きな私としては興味を持っていなかった人が今作をきっかけに興味を持ってくれたらと思うばかりです。
最近では宇宙に関するニュースはよく見かけますし、限りなく現実感のある宇宙開拓への一歩が描かれている今作は、「今」だからこそ特に面白く読める漫画なのかも知れません。
夢を追うという視点も作品には込められているので、私自身もう少し年齢を重ねて、そしてまた宇宙開拓も今より進んだ少し先の未来にまた読み返してみたいかも知れません。
完結してないのに完結作品トークをするんじゃないw

お後がよろしいようなよろしくないような。

※このレビューは1~7巻既読時のレビューになります


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Date:2009/09/28
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