漫画レビュー~遠藤ってば!~

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漂流ネットカフェ

                遠野可愛いよ遠野となる層には無類の良さを発揮する作品

■サバイバル漫画に恋愛、そしてこの絵柄、間違いないっす■

「漂流ネットカフェ」
作:押見 修造
連載:漫画アクション (双葉社)
定価:¥ 630


ストーリー:★★★☆☆

画力:★★★★☆ 

キャラクター:★★★☆☆ 

構成力:★★★☆☆ 

遠藤のツボ:★★★★☆ 

                              総合:★★★☆☆

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
妊娠中の妻・ゆきえと一緒に何不自由ない生活を送っているサラリーマン・土岐耕一(どい こういち)。幸せである日常、けれど妊娠をしてからピリピリムードのゆきえに辟易し、恋愛のピークと称する中学時代の初恋に想いを馳せていました。そんなある日、妻のゆきえと口論をしてしまった耕一は翌日仕事帰りに豪雨に見舞われ、帰れば喧嘩の続きが…と逃げるように偶然目の前にあったネットカフェに立ち寄ることになります。そのネットカフェで中学時代の初恋の人・遠野果穂(とおの かほ)と再会した耕一。喜びも束の間、そのネットカフェは何らかの現象が起こり異次元へと飛ばされてしまいます。帰りたくないと願った耕一の心中を察してか知らずか荒廃した土地へと導かれたネットカフェに居合わせた人々の運命や如何に!?

~レビュー~
まずは外枠の話を。


昨年から連載を開始し単行本は今年になってから1巻に引き続き2巻という今作ですが、まずイメージで「漂流教室」を思い浮かべた人、多いんじゃないでしょうか。
もしくは今流行のネットカフェ難民のようなイメージをパッと思いついた人もいるかも知れません。
かくいう私も漂流教室を思い浮かべた一人なのですが、漂流教室といえばご存知、楳図かずお氏が1970年代に連載していた大枠ではSF漫画というジャンルに分類されるであろう作品です。
2002年にテレビドラマで「ロング・ラブレター~漂流教室~」という作品が漂流教室を原案に作られたり(脚本や設定は変更が見受けられましたが)したので記憶には新しいことと思います。

端的に言い表すならば、一定の場所がそっくり異次元に飛ばされてしまい、そこにいた者達の元の世界に戻る為の謎解きを含めた極限サバイバルドラマというのがこの手の作品の流れという認識でよいかと思います。
アニメでも漫画でもサバイバル漫画というのは最近では地位を確立しつつあるように思います。
とりわけ今作ではその一定の場所というのが現代に即した舞台ともいえるネットカフェだったということですね。

実は今作は今年の4~6月に深夜帯にてテレビドラマ化されており、これまた漂流教室のテレビドラマ化の時と同じようにある程度の改変はされているのですが、こういった作品のストーリー性や話題性がテレビドラマ向きであることがうかがえるようです。

外枠だけみた時のまとめとしては、ネットカフェという場所柄や現代的絵柄と萌え悶え要素を取り入れた現代版「漂流教室」と呼べるのかも知れません。
無論、そう言い放つにはやや語弊があることもまた然りでしょう。
というのも、今作者の作風は特殊状況下での初恋のような恋愛漫画としてのコンセプトがあり、それがストーリーの流れをインスパイアしたということであってもその作風に合致して出来上がった作品が今作という気兼ねはします。

さて、では中身は?という話に移りたいと思いますが、まだ2巻目されど2巻目という醍醐味が凝縮されていると言えるかもしれません。
絵が上手いというのも前提にある気もしないでもないですが、人間のエゴや醜さを浮き彫りにする心理描写はこの手の作品にはつきものだと思っていて、それがなかなかお見事な描写力を持っています。
ただ、まだ2巻なのに飛ばしすぎていてエグいのが気になる。

ひとまずあらましの続きですが、異次元に漂流してしまった一行。
普通ならば居合わせた人々が噛み合わないながらも協力して何とか自分達のいた世界との繋がりを模索していくことになると思うのですが、よくも悪くもここでネットカフェに集っている面子というのが効いてきます。殺伐とした現代を生きる我々を風刺しているともいえるかもしれません。
私自身も極たまにネットカフェを利用したりしますし、それを込みで世間一般のイメージはという話をさせていただきますが、皆さんはネットカフェの利用者となるとどういった人々を想像するでしょうか?
あくまでイメージということで多少偏見になるかも知れませんが、例えばちゃらちゃらしたカップルであるだとか仕事帰りの疲れきっているサラリーマンだとか寝床にしているネットカフェ難民であるとか変にパソコンに詳しい人だとか。
もちろん極平凡な今作の主人公のような人だっているだろうし、奇人変人だっているかも知れません。
そこに共通するものって何かと考えた時に人間関係の希薄さの象徴としてのネットカフェ、そんな風に繋がる側面があるのかなと思うんですよね。
というよりコミュニケーション不足を象徴するスポットとして、安息の地としてのネットカフェというか。
なもので当初は協力するも段々と意見や思想の総意が出てくるというスタンスに今作はない、というのが大きなポイントになってきます。

そういう側面で今作の極限サバイバルの描写は初っ端から鋭利過ぎる。
展開が悠長に流れていかないというか詳しく書いてしまうとネタバレになってしまうのでちょっと抑えた表現をすると、命のやりとり性への欲望という二大エグい展開がこの1巻と2巻だけでもう描写されるということをお伝えすれば何となくお分かりいただけることかと思います。

想像してみてください。
美人女性キャラを描けるこの絵柄で初っ端からフルスロットルのサバイバルが描かれていく様を。

興奮……?

それも無きにしも非ずですが、正直2巻の展開はエグい方向に飛ばしすぎで読んでいて鬱になる人が多いかも知れません。
心が重くなるというか。
その分、人物の心理描写などは秀逸でいわゆる読ませるものなのですが、人間の本能や欲望、エゴといったものに対するストッパーはあってないようなもの。
そこに抵抗感を覚えることは必至なわけで、手放しにオススメ出来る作品でないことは確か。
読ませるものを持っているのだから過激な展開は小出しでストーリーに深みをもたせていけばいいのにということを読んでいて思ったのですが、ネットカフェに集った現代人ということで捉えるのならば良い線ついてるのかも知れません。
普段普通な人が危機的状況でころっと豹変しちゃうようなというのもまたスタンスとしては間違っていないでしょうし。
一つ言える事は性的描写に不快感を覚えやすい人やエグい描写に抵抗感を覚えやすい人には現状の巻数だけではオススメできないということです。
恋愛要素好きであればかろうじて読んでみてくださいという所でしょうか。
これが巻数を連ねていって瞬間的なシーンに頼らないストーリーや構成の奥深さが出始めたら別ですが、このまま短期間の連載(2年前後)で完結してしまうかも知れませんし、現状では判断し辛いというのが本音です。

次に個人的に良いなと思ったポイントを。

まずは一にも二にもヒロイン遠野の存在は大きい。

まぁ表紙を見て下しあという話です。
左にいるのが主人公でまぁ何とも優柔不断というか平凡キャラ代表みたいな存在なのがなげかわしいところですが、正面の女性が遠野さん。遠野嬢。
ちょっと釣り目っぽい所が既に外見からノックアウトとか言うとキモいですか、そうですか。
主人公の中学時代の回想なども物語の始めに差し入れられたりするのですが、ようするに両想いだったのに主人公のへタレ全快でフェードアウト。
あの鼻をぺロっと舐める大胆さと普段のおしとやかさ。
まぁこれは実際にお読み下さいとしか言えませんね。

こいつぁただもんじゃねぇぞ!!

それでいて一本芯の通った男顔負けの凛々しさを兼ね備えており、世の頼りない男性読者を牽引する女神としてヒロインとしての存在感はかなりのレベルであるでしょう。
世の頼りない男=自分乙という話で大変お恥ずかしい所です。


次に寺沢という人物の存在。
既読読者の皆さん、まぁ落ち着いて聞いて下さい(笑)
この寺沢という人物は漂流後の世界にて機転と体格の良さから一種のリーダー格になる人物なのですが、まぁはっきりいって普通に読んでいれば胸糞悪くなる人物なんですね。
どこか不気味だしそれこそ当初からキモチワルイ人物です。
とことん不快な気分にしてくれる寺沢ですが、物語の緊迫感やサバイバル感を保っているのはこの寺沢がいるからこそとも言えると思っています。
プロレスでいう所のヒール役というか、物語の進行上の必要悪みたいな存在として、しっかりその役目を果たしているのは◎。
まぁ嫌いなもんは嫌いという話で、私自身はいけ好かないキャラという認識は余程のことがない限り変わりませんが、良くも悪くも作品の彩りを支えるキャラクターだと言えるかも知れません。
少し安易に考えすぎかもしれませんが、こういうアクの強い要素が作品にあるからこそ良くも悪くも面白さを感じやすくなっているんじゃないかなって思いました。


こんな所でまとわるわけですが、今一度振り返ると設定が真新しいわけでもないし描写はエグく飛ばしすぎで安直過ぎるかなとも思います。
それを補う形で恋愛漫画としての嗅覚を研ぎ澄ませて、遠野という人物を生み出したことそれ自体に集約するのかも知れません。

遠野僕にもペロペロしておくれよ遠野

少し話は今作と逸れますが、別冊少年マガジンにて「惡の花」という作品を先月の創刊号から連載されており、こちらも恋愛的な視点で注目の作品になっていくやも知れません。




ここまで書いてきて気付いたのは、私の中で作者の描く絵柄と恋愛描写のセンスに惹かれているわけでその他の要素はさして問題ではないのだろうなということが改めてわかりました(笑)
何にせよ次巻以降も波乱続きのようなので、気が抜けません。

※このレビューは1~2巻既読時のレビューになります


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Date:2009/10/14
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