漫画レビュー~遠藤ってば!~

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高校デビュー

                裏表がないからこそ安心して楽しめるのかも知れない

■『女性が楽しむ少女漫画』の枠組みの変革を推し進めた1作■

「高校デビュー」
作:河原 和音
連載:別冊マーガレット (集英社)
定価:¥ 420(一部原紙影響の値上げ以前は¥ 410)


ストーリー:★★★☆☆

画力:★★★★☆ 

キャラクター:★★★★☆ 

構成力:★★★☆☆ 

遠藤のツボ:★★★★☆ 

                              総合:★★★★☆

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
舞台は北海道・札幌。中学時代をソフトボール部に捧げた少女・長嶋 晴菜(ながしま はるな)。彼女は部活一筋であったが故に同年代が憧れる恋愛とは無縁な生活をしてきました。そして高校生活が始まり、彼氏を作って素敵な恋愛をしようと決意する彼女でしたがなかなか上手くいきません。そんな折にモテる為の師匠を探していた彼女が出会ったのが同じ高校に通う先輩・小宮山 ヨウ(こみやま -)でした。何かが始まる予感が……、そう、高校デビューが始まろうとしていました。

~レビュー~
丁度私が運営を始める直前に完結した作品で、あれは確か2008年の12月だったと記憶しています。
全13巻で短すぎず長すぎず、起承転結が鮮やかに、そう……駆け抜けたように連載した作品でした。
完結してしまったことでついレビューも後回しになり、そうこうしているうちに同作者の新連載が始まり、もうレビューするに出来ない空気を自分の中で作り上げてしまっていたのですが、運営休止を経て、心機一転の気持ちを持っているうちにレビューしたいと思いますっ!(結局はレビューする乗り気の問題かっ)
まぁ読み返したりはしないので、所々抽象的な内容になるかも知れませんしそもそも未読者向けのレビューであるが故にという点を考慮して以下どうぞ。


さて、今作をどういった視点で捉えたらよいかという話が最初に来るわけですが、私は上記の箇所にて

『女性が楽しむ少女漫画』の枠組みの変革を推し進めた1作

としました。
他の少女漫画がどうであるか……、自分の気に入った少女漫画しか読まない私には多角的に判断することは出来ないのですが、今作を読んだ時に感じたある1つの感覚。
もう少女漫画だからという理由で若い人だけ楽しむという閉鎖感を生み出す必要はないし、女性だけが読むべきものという少女漫画の基本的な概念は古くて、それこそ男性でも、本当にそれこそ少女漫画とは無縁そうなおっさんが読むことさえ許容されるべき作品の広がりを今作では感じました。
ある意味で少女漫画の入門的な作品なのではないかと考える一方で、これが少女漫画たる良さが集約されているものなのかと問われればそういうわけでもなく。
何とも形容しがたい作品であることは確かですが、一つ言えることは恋愛漫画を普段読まない層にもこのジャンルを好きになっていけるような橋渡し的良さが今作にはあるということでしょうか。
全体像の話を長々としてしまい恐縮ですが、実際に作品をみていきましょう。

表紙画像にもなっている女性が主人公の晴菜で、男性がお相手役になってくるヨウです。
うん、美男美女。


まず第一のポイントはどの登場人物も癖がありつつポジティブに集約しているという点。
恋愛漫画においては負のオーラを受け持つキャラがいるのもまた良き趣ではある、というのは今回のお話では余談にはなりますが、まぁ今作で登場するキャラは皆読み進めていくと潔い性格をしていて読み心地が良い。

主人公でもある晴菜がいわゆる天真爛漫な性格であることで、この天然さが作品をぐいぐい引っ張ります。
モテを指南するコーチとなったヨウとの関係において、自分を好きになるなという条件付きでコーチになるヨウ。
この男何様wと未読の方は思うかも知れませんが、イケメンでシャイでクールで口下手で……全く鼻に付かない好青年であることでメインとなる2人の明るい空気が読者の気分もポジティブにしてくれることは間違いありません。
他、次第に登場してくる晴菜の友人もヨウの友人も皆良い奴すぐる。
いわゆる周りにいた気配り出来る出来た友人を思い描いていただければ恐らくそんなイメージで間違いないです。
物語が進むに連れて高校生活においてこの主要人物達が(先輩後輩という関係ながら)グループになっていったりとまぁ清い青春が全開です。
眩しすぎてちょっとセンチメンタルになってしまうかも知れないのは注意(;´Д`)
ただしコメディ要素を効かせて展開が進むので、変に恥ずかしくなってしまうことも変に疎外感を読者として感じてしまうこともあまりないとは思います。


物語は次第に互いを想い合っていく晴菜とヨウの関係が始めにした約束で縛られた中でのやきもきが初期を支え、後半は然るべき仲になった2人の関係性が揺らいだ所で人を想う絆を正当に正面から描いていく形になります。

やっていることは恋愛漫画そのものである所、何が少女漫画の枠組みを変革していったのか。
作品がポジティブで前向き、万人に受け入れやすい点だけではありません。



第二に、人間関係の悩みというものを華やいだ恋愛外でもしっかり描いたこと、これだと思いました。
傷ついて悩む、その過程とどう登場人物達が乗り越えるかが思春期に生きる年代の人物の群像劇としてしっかり地に足をつけた状態で描かれていたことで、恋愛漫画だからという短絡的な視点には決してなりませんでした(私の中で)。
こういう描写というのは多かれ少なかれ誰もが通るものですし、ポジティブな恋愛漫画でありながら浮つかない現実感を挟むバランスは作者の培ってきた嗅覚なのかなという気がします。



そして最後に忘れてはならないのが天然フェティシズムでしょう。
何のこっちゃと思った人、正常です。
単に今思いついて書き殴っただけですから(笑)
で、いちおう説明はしないと投げっぱなしジャーマンなので説明しますが、主人公である晴菜の性格に対する探究心と言い換えられるかも知れません。
天真爛漫、前向きで天使のような、邪心の欠片もないような性格をしている晴菜ですが、やはり読者によっては鼻につくんですよね。
空気読めないの?みたいな苛立ちやふわふわしてるようで芯がある所が最初から芯を出していけよ!みたいなね(未読の人からしたら凄い抽象的だな)。
で、私はそういった読者がいるだろうなということを想像しながらも、天然っ子独特のそのどこかでやっちゃってる感(すべっている感と言ってもいい)に萌えを感じるのです。
やっちゃってるなぁおい!と興奮気味に突っ込みをブツブツ漫画に向かって呟いている大人の図。
これ以上ないくらいきめぇw
のですが、天然っ子を見守る視点というのは自分からこういったスタンスになっていくことで初めて萌えも感じられるし、それこそが醍醐味なのではないかとさえ思ったりします。
能動的に漫画を楽しむの一環ですね、いわば。
そういう意味で同じようなスタンスで漫画を楽しむ人がいるとしたら、そういった天然っ子特有の探究心も味わえる作品であるということは明記しておきたいと思います。



流れとしてはこんな感じなのですが、この第二に挙げた点はなかなかお見事だなと思います。
好き嫌いという観点ばかりクローズアップしてしまうのが恋愛漫画ですが、そのちょっと先にあるどうして好きかとかどうして好きだと胸が苦しくなるのかとか恋愛感情を置いたとしても相手を思いやるとはどういうことなのかとかほろ苦い所まで丁寧に描かれるので、登場人物達の心情がスッと胸に入ってくるんですね。
ポジティブ路線を作風として打ち立ててここを描くというのは想像以上に難しいというか繊細さが問われる点だったはずです。
ポップでキラキラした所だけ掬い取るほうが描きやすいし少女漫画らしいといえば一つの方向性としてらしい。
そういった中で一歩引いて、キャラの心情がその鮮やかさに埋もれてしまわないように根を張って描写されていたのは凄いうれしかったです。
そこで何とかキープしたかという感じ。
だからこそ性別関係なく登場人物達の心の揺れ動きを読者として繊細に感じ取れたのだろうし、そういう下地があるからこそメイン2人の純真で汚れていない青春感というものが、はいはいワロス的な斜めから捉えてしまう感じにならずにちょっと恥ずかしいけど正面から捉えられたんじゃないかなと自分として振り返ってみると思いました。



また、今作は恋愛漫画としても展開の差し込み方など非常に心得ているというのも良さの一つです。
いわば鉄板な、主人公を好きになってくるキャラだったり主人公が好きな相手を好きだと主張してくるキャラだったりを絡めた揺さぶりだったり、親友との確執だったり展開に飽きが来ないようにリズミカルに展開が流れていきます。
展開が遅ければ悪いという話では決してありませんが、この辺りは作品の組み立て方が非常に上手いということで記載しておきたいと思います。
過激な描写が当たり前になりかけている少女漫画においては何が良さなのか迷走していたりもしますが、こういった王道路線で心が温まるような恋愛漫画が「少女漫画特有の癖」がないタッチで綺麗に描かれていると、恋愛漫画……強いては少女漫画を普段読まれない人にも趣向を広げる意味でとても有意義な作品であるとオススメしたくなります。


とまぁ男性でも楽しめる少女漫画を推し進めた功績はあれど、現実も考えて言及してみたいと思います。
今作を書店で堂々と少女漫画の陳列されたゾーンに足を踏み入れて手にし、レジに持っていくことが男性として出来るか問われれば難しいと、現状ではこの長年の壁は変わっていないとも思います。
しかし、最近の「オトメン(乙男)」だったり「君に届け」だったり「町でうわさの天狗の子」だったり挙げれば切がありませんが、こういった作品はもう女性だけが楽しむ作品の枠組みは超えた所にあることだけは確かだと思っています。
私自身はジャンル問わず新刊をごっそり毎度毎度購入しているので、カゴを青年誌作品やら少年誌作品やらでいっぱいにさせて俺はジャンル問わず読む漫画通だ!(←笑が付く)ってな具合で少女漫画コーナーに突入するメンズではありますが、未だに申し訳なさは消えないわけです。
まぁそれでも最近の……男性でもおっさんでも楽しめることの出来る少女漫画というものが増えてからは少女漫画の新刊コーナーの前をうろつくくらいは恥もせずに出来る環境が出来ているんじゃないかなと思ったりします。
え?恥ずかしい?うん、己が麻痺してるだけかも知れない。
逆に男性誌メインの新刊コーナーに女性誌関連の漫画が置かれていることも少なくなく、読まれる層というのがより一般化した視点の作品が増えてきているのかなとも思います。

って話が脱線してしまったわけですが、今作は全13巻と程よい完結でまとめられており、かつ恋愛漫画好きにはご褒美のような作品でいて、普段恋愛漫画を好んで読まないような人にとっても楽しめる可能性を強く秘めたバランス感覚の良い作品です。
なによりトキメキ感を物凄く感じさせてくれる作品なので、この作品がきっかけで恋愛漫画にはまっていってしまうような人はきっと多く輩出してきた作品だとも思います。
もし全巻読んでしまったとしても、今作者の次作も今現在(レビュー記事投稿時点での話)連載中なのでそのまま追っていけるというおまけも地味に作者追いをする人にはうれしい点。
未読な人は是非にもという作品ですね!





……で終わらないのが遠藤レビューで(ry

最近この流れ多いな(;^ω^)

少し気になった点も羅列しますので、購入の参考にしてみてください。


まず「展開が気になる」ことに焦点をあてられて読む人には少々そういった趣は今作には欠けている点なので(読者として展開を読みやすい)ご注意を。
また、万人にオススメみたいに煽ってしまいましたが、かなり素面で読んだら恥ずかしさ爆発のトキメキを秘めた作品です。やはりこの壁が苦手という人は大勢いるので、読んで合わなかったということもまた然りだと思います。
登場人物の心情がしっかり描けている点においてそういう要素もあるから是非とオススメしているわけですが、どうしても青臭くて照れてしまう、にやけてしまうような描写の連続です。
この青臭さという点がマイナスになることは十分考えられます。
起承転結が鮮やかと始めに言いましたが、むしろ性急もとい強引すぎる点は否めません。
次から次へとトラブル発生という感じに矢継ぎ早に物語が進展するので、このポップ感が幼稚で冷めてしまうという人もいるかも知れません。
作品にゆっくり浸からせてくれるような作品ではないので、基本的に心をときめかせる以前の問題……と感じる側面はあるだろうなと思います。
それも含めて冒頭では駆け抜けていった作品としました。
まぁ本当の意味で万人が楽しめるものっていうのは限られてくるんでしょうね。
だたし、読後感の良さなど完結したトータルでみて根幹の大事な部分ではしっかりしているので、面白くない作品であるということはないと思っています。
合う合わないだけで、むしろ普段少女漫画を数多く読んでいる層で好き嫌いが分かれる作品なのかなぁ。
概ね普段このジャンルを読まないような層にはヒットすると思います。



総括するとここまで挙げた良い意味悪い意味を含めて『女性が楽しむ少女漫画』の枠組みの変革を推し進めた1作、それが高校デビューなのではないかなとレビューは終着です。
同作者の次作もまた機会を見つけてレビューしたいと思います。


※このレビューは1~13巻(全巻)既読時のレビューになります


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Date:2010/03/17
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