漫画レビュー~遠藤ってば!~

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放浪息子

                安那(あんな)ちゃん独走、高校編が描かれればよしの返り咲くか(何を言っているんだお前は

■傷つき成長して、人は大人の階段を登っていく■

「放浪息子」
作:志村 貴子
連載:コミックビーム (エンターブレイン)
定価:¥ 651


ストーリー:★★★★☆

画力:★★★★☆ 

キャラクター:★★★★☆ 

構成力:★★★☆☆ 

遠藤のツボ:★★★★★ 

                              総合:★★★★☆

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
女の子になりたい少年・二鳥修一と、男の子になりたい少女・高槻よしのは小学5年生。お互いの秘密を知ってしまった2人は、ある種の戦友として秘密の交流が始まります。けれど成長による体の変化は避けようがなく、2人は様々な葛藤と向き合いながら自分らしさを模索していきます。

~レビュー~
トランスジェンダー系統の作品は、至極萌えだったりコメディだったりに流れる傾向があるように思いますが、その中で心情面として正面から描かれた今作は、漫画としての質を1段階底上げしているような印象を持ちます。

というのも、作品内でリアルを求めているわけではないのですが、真面目路線で描こうとするとなかなかテーマとしては複雑な問題なので、萌えやコメディ作品よりも作者の技量が問われると思うからです。絵柄も淡いタッチがテーマの重苦しい要素を軽減させるのに一役買っています。
さて始めにですが、ジャンル分けを日常系漫画に入れようか恋愛漫画に入れようか迷いました。
限りなく日常系に近い作品ではあるのですが、恋愛としての要素も含まれているのです。
舞台設定が小学校から中学校に移行し、今後高校に移るかも知れないことを考慮に入れてあえてジャンル的要素ではそうであってくれという個人的な願望も見え隠れして恋愛漫画にカテゴリ分けしたことを明記しておきます。

お話自体が淡々と、かつその中で心情を鮮やかに表現していくので掴み所がないというかどこから話していけばいいか迷いますが、この「心情」に作品の魅力を置いて話させていただきたいと思います。

物語は主人公達が小学校5年生であるという点を上手く突いた、思春期にはまだ入らないけれど自我も強く育ってきている繊細な年頃を舞台にしています。
主人公である二鳥君は転校してとある小学校に編入します。
彼には周りには言えない秘密がありました。
彼の心は女の子なのです。
しかしそこはまだ10歳、可愛い女の子になりたいという願望は持っていますが、その先にどんな世界が待っているかを具体的に理解しているわけではありません。
ヘアバンドをつけることで女の子への第一歩を踏み出す二鳥君の淡い心は物語の最初であるにもかかわらず読者を放浪息子の世界に誘うには十分なアクセントになっているのではないかと。


ある日、1人で留守番中に自宅訪問に来たセールスマンにヘアバンド姿の二鳥君は女の子に間違われてしまいます。
その何たるドキドキ、手に取るようにわかります。
1人になる直前に親から新聞とダスキン代の支払いを任されていた二鳥君ですが、出来心で姉の洋服を盗み着してしまいます。

マジで可愛いから、似合いまくってるよ!

もうこの時点でかなり色々と危うい感じなんですが、その気持ちがわからないわけでもない。
多かれ少なかれこういった危うい感情というものはこの年代の子は何かしら持ち合わせているような気がします。
大げさなアクションでそれを表現しているわけではなく、淡々と描かれているからこそ彼の気持ちがより伝わってくるような気になります。

さて、その時玄関のチャイムが鳴ります。

業者だと思って女装姿で玄関に出た彼を待っていたのは同じクラスの千葉さんでした。
この千葉さんという人物、重要な登場人物になっていくのですが、美人で変わり者。

普通はこの時点で二鳥君、一巻の終わり。
ですがそこは漫画、二鳥君に好意的な印象を持っていた千葉さんは彼との秘密の共有うれしいみたいな展開になるんですね。
その後に同じ同級生である高槻さんが男の子になりたい女の子であることがわかって親交を深めるようになりますが、三角関係のようなそうでないような。

何とも言えない空気を保ちながら二鳥君と彼女達との交流が続きます。




しかし、ある時クラスに二鳥君の女装癖がばれてしまう事件が起きてしまいます。
この時の騒動も人それぞれ共感できる心情が描かれているんじゃないかと思います。
例えば、小学生の頃の話になりますが高学年になってから授業中にお漏らしをしただとか吐いてしまっただとかそういったことなかったでしょうか。
実際に恥ずかしい体験をしてしまった人もそれを見てしまった人も何とも言えない気持ちになりますよね。
そういった何とも言い表せない心情を鮮やかに描くことに関してはこの作品はとても高いポテンシャルを持っているように感じます。

これは私の小学校時代の思い出話になりますが、ある時自分の体操着入れの中に同じクラスの女の子の体操着が入っていたことがありました。

もちろん自分で入れたわけではなく、誰かが入れたのですがそれが発覚したのが体育の着替えの時間だったんです。

疑いは全て私の目に、とても何とも言えない心境になりました。

※今思えば盗んだ本人が着替えの時間にばれるように持っているなんてあり得ない話ですよね(笑)

当の体操着がなくなっていた女の子が遠藤君(もちろん本名の苗字じゃないですが)はそんなことするような人じゃないって庇ってくれ、後になっていたずらをした人も出てきてくれて事なきを得ました。

こういうような話は今となっては笑い話に出来ますが、当時はそれこそ1つ1つがとても大切な真剣な出来事だったような覚えがあります。

この作品はそういった心情の妙がいたる所に散らばっていて、とても素敵な作品です。

話を作品に戻しますが、二鳥君と高槻さんは周りからみれば恋人のように親しい間柄になっていきます。
そして次第に二鳥君もまんざらではない気持ちになっていくんです。
これは男の子としての高槻さんが好きになっていく感情なのか、それとも……。
二鳥君は勇気を振り絞って高槻さんに告白します。
さて結果はどうなるんでしょうか!?実際にお読みいただきたいと思います。

二鳥君のやる時にはやる男らしさにウホッ



物語は小学校編が終わると舞台を中学校に移します。
そうです、体の変化が著しい年代、それが中学生です。
二鳥君・高槻さんともにとても悩んでいきます。
ここまで来る頃には作品にドップリ浸かっていることでしょう。


ということでここからは個人的なオススメポイントを。

二鳥君の姉は学生のモデル業を始めますが、姉のモデル友達の1人と二鳥君が良い雰囲気になっていきます。
いや実際には悪い感じで描かれるのですが、その女の子の名前は末広安那。

もうここまでくればわかりますね、ツンデレです。

はい、神展開キタ

この安那ちゃん、かなり精神年齢の高い子なんですが良い子すぎて泣ける。
報われない結果になりそうなのがまた応援したくなります。

安那を泣かせたら俺が許さん


総括に入りますが、その他登場人物は皆魅力的なキャラクターのオンパレードで、彼(彼女)らの日常はタイトルにもなっている「放浪」のようなあてもなくふわふわと彷徨う思春期の群像として素晴らしい。

今後中学校時代から高校時代に入るのかどうかも注目です。
高校とまでなれば外見の変化は決定的なものになるだろうし、真面目路線で突き進んでいるこの作品としては下手に描写出来ないだろうと思います。
個人的には高校編が始まって恋愛要素が強くなってくれば神展開。

そういう漫画じゃねぇから!という声が聞こえてきそうで申し訳ない。

完結まで目が話せない1作です。

※このレビューは8巻まで既読時のレビューになります


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Date:2009/02/09
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