漫画レビュー~遠藤ってば!~

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クピドの悪戯 虹玉

                怜子の気持ちも痛いほどにわかるからこその麻美一択説

■まさに心情心理豊かな極上恋愛漫画■

「クピドの悪戯 虹玉」
作:北崎 拓
連載:ヤングサンデー (小学館、08年に休刊)
定価:¥ 530


ストーリー:★★★☆☆

画力:★★★★★ 

キャラクター:★★★★☆ 

構成力:★★★☆☆ 

遠藤のツボ:★★★★★ 

                              総合:★★★☆☆

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
取引先の事務員・大倉伶子(おおくら れいこ)に恋した睦月 智也(むつき ともや)は父親が営む板金工場睦月金属で働く青年。中学の頃に「童貞と処女で結婚する事」を夢にしていた睦月も、今やそんな夢はなくなった21歳となってもまだ童貞のままの生活を送る毎日を過ごしていました。そんなある日の晩、オナニーをしていると紫色の玉を射精してしまう睦月。一体この玉は何なのか?「虹玉」にかかってしまった睦月の運命や如何に!?

~レビュー~
SF(サイエンスフィクション)恋愛漫画といった趣の今作ですが、作者の世界観を統一した恋愛オムニバスシリーズ『クピドの悪戯』シリーズという内容の連載第一弾作品になります。

詳しい由来はうろ覚えなので説明はご容赦願いたい所ですが、天使のキューピットの悪戯(ある種とんでも設定での困難?)みたいなテーマを恋愛に据えて展開されるオムニバス形式の作品群を作者がプロジェクトとして打ち出しているようです。
レビュー時点での話ですが、つい先日このクピドシリーズ第二段のさくらんぼシンドロームの連載が終わって単行本として完結を迎えたという経緯もあり、今回さくらんぼシンドロームを語る上で外せない1作、この全7巻の第一弾作品を見ていこうということに決めました。

大きな作品のポイントとしては、
・作者の画力の高さ(表紙だけ見てもわかる通りです)
・とんでも設定
・青年誌として性を正面から見据えた展開をしている
・キャラクターの深層心理を非常に巧みに表現している

が中心になってくるように思います。
特に性を正面から描いているという点において、これは連載時の話になりますが、セックスシーンの展開だけで何週にもわたって連載されていたこともありました。
型破りでありつつもやはりそこは成人向け漫画との違い、青年漫画においての性描写の正面からの描き方は、作品の物語としての深みを出す意味があるように思います。
ストーリー漫画としての恋愛漫画になかなか相容れないのが濃い性的描写です。
最近では少女漫画等においても過激な描写の作品は増えてきていますが、作品の質を高めるためなのか見た目のインパクトを高めるためなのかの判断は難しいでしょう。
そんな中での今作、作品の質を高めるための描写としての良さがあるように思いました。


作品の主な主役は3人で、まず人物から見ていきましょう。
主人公・睦月 智也はあらましでも述べましたが、一歩前に進む勇気を出しあぐねている青年として描かれます。将来の道を探しあぐねているとも言い換えられるわけですが、こういった人物像は比較的多い中で、根が真面目で好青年な所は読者が一緒になって感情移しやすい点において上手なキャラ作りをしているように思いました。ちょっと人には言えない恥ずかしい過去も男性からしたら共感なのではないでしょうか。その内容は実際にお読みいただくとして、若気の至りの描写から読者の心を掴むような流れは作品の掴みが上手いなと感じました。

そしてヒロインのうちの1人大倉伶子は実家で事務員を務める19才の少女です。巨乳でツンデレの清純乙女に加えて処女……、これは色々な意味で男性の理想を具現化したかのようなキャラ作りがされているわけですが、もう凄いの一言です。上手い形容の仕方が咄嗟に出てきませんがあまりの可愛さに1巻目から虜になること間違いなしではないかと思います。物語の転換期を彼女が作ることになりますが、その事象を込みでの心情はとても共感出来る、純粋な恋愛漫画の味を引き出す魅力の基軸になっている登場人物です。
正直彼女が恥ずかしさに悶えている姿はあまりのピンポイント爆撃に心をとかされた

もう1人のヒロインが睦月の中学校の時の同級生で、IT関係の上場企業に勤めるOL桐生 麻美(きりゅう あさみ)です。睦月にとっては大人になった今でも気兼ねなく付き合えている数少ない異性の1人なのですが、彼女は恋愛において修羅の道とも言える妻子ある男性との不倫を突き進んでいるという背景があります。片方のヒロイン伶子とはある種対照的な描かれ方をしていますが、いうならば母性の塊を担っている登場人物かも知れません。伶子が物語を始めさせる鍵をもっているとしたら麻美は終わらせる鍵をもっているともいえます。


……と、まさに刺客なしの登場人物配置なのですが、忘れてはならないのが恋愛漫画では不可欠である青臭いドキドキ感です。
恋愛について些細なことでも一喜一憂する描写は、読者のあるあるwを刺激するものだと思います。
恋は盲目とはよく言いますが、その観点を非常に巧みに表現しています。


ここまで語ってきて、ひとつ疑問にもたれるかも知れません。
ぶっちゃけ「虹玉」の設定なしでの三角関係を基軸に展開しても面白いのではないかと。
いや多分、面白いと思います。
登場人物の深層心理を巧みに表現出来ていて、この画力。
面白くないわけがない。
まぁでも、最後まで読み進めるとやはりフィクションだから、漫画だからこそ出来る表現方法だからこそ良いのだなと私は実感させられたのですが、まだ未読の方が結末後にどんな余韻を覚えるのかまた興味があります。
個人的にはクピドの悪戯の設定をもう少し上手く描けていればもっと良かったかもしれないなという気持ちは抱きました。
「虹玉」という設定が男女に真実の愛とは何かというものを最大限引き出せていたかを考えるとまだ表現出来ていたはずとも思います(オチに関しては予定調和ながら上手に構想通りの着地をした良さはありますが)。
けれど、その中でも青年が大人になっていく様(具体的には責任感だったり恋愛感だったり)は非常に素晴らしいポテンシャルでもって描かれていたようにも思い、それがこの作者が書く今後の漫画の期待感にシフトしていくことを考えると、私の中では作品を見守っていく前衛的というか前向きなほうが漫画を楽しむうえでは大切な姿勢だなと気付かさせてくれもする漫画になった1作でした。


始めは軽いノリで始まったラブコメだと思っていたのですが、完結していざ振り返ってみると、夢や目標、決意の背中をポンと押してくれるような成長物語として心地よい余韻をもたらしてくれた作品だったように思います。
以前レビューしたうさぎドロップでこどもと大人の境界線の話も少しさせていただきましたが、うさぎドロップでの主人公・ダイキチが大人としての確立した状態で読者に考えさせてくれたとするのならば、今作の主人公からはもっと噛み砕いた状態で読者にアプローチしていたなという印象を持ちました。

といったわけでこの作品の想いは同作者の「さくらんぼシンドローム―クピドの悪戯2」へと引き続くことになります。もう何というかこの作者の恋愛漫画を読める幸せ、かみ締めなければと思う私からは、恋愛漫画好き必読の1作と位置付けさせてもらって締めとさせていただこうかと思います。

ぶっちゃけると絵柄と恋愛漫画というだけで買うしかない超オススメなんですが、そんな安っぽい言葉で語っても困ったちゃんだろうし、気持ちのうえでは4つつけたい所ですが、所々で惜しい要素もちらほら見えているので3になっています。次作でのさくらんぼシンドロームではその惜しい箇所が補修されている側面もあり、それはそちらのレビューでご覧いただければ幸いです。

ヒロインの破壊力ありすぎだろ、常考……。

※このレビューは1~7巻(全巻)既読時のレビューになります


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Date:2009/03/03
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