漫画レビュー~遠藤ってば!~

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おやすみプンプン

                表紙をじっくり見てください、そうその鳥が主人公です

■鋭利過ぎてまともに触れない感情の爆発■

「おやすみプンプン」
作:浅野 いにお
連載:週刊ヤングサンデー(08年休刊)→ビッグコミックスピリッツ
定価:¥ 530又は¥ 540(一部特装版は高いです)


ストーリー:★★☆☆☆

画力:★★★★☆ 

キャラクター:★★★☆☆ 

構成力:★★★★☆ 

遠藤のツボ:★★★☆☆ 

                              総合:★★★☆☆

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
平凡こそが似合う普通の少年「プンプン」の青春をありのままに描いた作品になります。少年から青年へと入る思春期の葛藤や悩み、その始終を個として見つめた姿勢は思春期の危険性をリアル過ぎるまでに映しこんでいます。

~レビュー~
いくつかの短編作品を中心に2005年の「ソラニン」にて世間的に幅広い賞賛を得て有名になられた作者だと思いますが、ソラニンの後継として連載された流れがあるのでどうしても比較対照してしまう人は多いかと思います。そんな中、この作品が作者の初読作品である人ももちろんいるだろうことが想像されるので、その流れに乗っ取ってレビューしていきたいと思います。一つ言える(言いたい)ことは全作品目を通すべきであると主張したい点で、注目の次世代作家という出版社の謳い文句は伊達ではないということだけは事実としてあると思います。

まず読んだ人が絶対に触れるであろう点があります。
人物や情景などの高い描写力から作者の画力は並外れたものがあるのですが、画像で明示することが出来ないので(今回はタイトル的な意味でも)例えるならば写実的であるという点でしょうか。
似た画風の漫画家さんかどうかも怪しいのですが、イメージ的には有名である点を考慮すると少女漫画の分野で主に活躍している「ハチミツとクローバー」を描いたことでも有名な漫画家の羽海野チカの絵柄をより写実的に描いているイメージです。
あくまで私のイメージなので全然違うとかいうことは大いにあると思いますが、とにかく青春系の作風には合致する良い絵を書く作者です。

ということで上記表紙画像を凝らして見ていただきたい。

何か汗を飛び散らせながら首にマフラーのようなものをかけた生命体のようなものが浮かんでいませんか?

主人公「プンプン」その人です。


どうゆうことなの……w

主人公とその家族というメイン登場人物がこどもが描いた落書きのような鳥であり、周りの風景や登場人物は先ほど述べた通りなんです。
革新的とか前衛的とかそんなクッキリした言葉だけでは言い表すことの出来ない衝撃。
何だこれという言葉が素で思わず口から出てしまいます。
決してギャグではなく読者の目には鳥ですが、登場人物にとっては同様の人間として映っているということが非常に新鮮です。
読者フィルターとでも言いましょうか、登場人物にとっては同じ人間の像として映っているのです。
展開される中身も至極人間ドラマ、局所的には思春期の群像としての様相を呈している点はシュールを通り越してちょっと狂気染みた怖さも感じました。
とは言うもののなぜ恋愛・青春漫画のジャンルに振り分けなかったのかもいちおう説明しなければなりません。
作品の根底にはプンプンの成長物語が付いてまわっているわけなのですが、それは決して恋愛や青春ジャンルにありがちの甘美なポテンシャルではなく、どちらかというと「痛々しい」という言葉が前につくようなもので、全てが破滅的な展開……どうしようもない狂気に方向が向かっている気ばかりしまして、リアル路線と人間ドラマに着目してそちらのジャンルに組み込んでいます。

さて、どんな言葉をもって魅力を伝えようか考えたのですが、私の読んだ実体験をネタバレを抑えて挙げるのがこの作品にとってはベスト(興味をもってもらいやすいor作品の良さが伝わりやすい)だと思ったので、その方向で話をさせていただきたいと思います。
まず最初に感じたのは上記でも述べた、作品内に異質な輝きをみせているプンプン及びプンプン一家の人物描写でした。
これがまたなかなか慣れません。
むしろ最初の1巻では、鳥ではなく他登場人物と同じような描写でもって主人公を表せば変な違和感を持つことも無くそれこそ青春漫画の一つとして楽しめるのに。
そう思いました。
鳥の描写にすることで人間像では表現にストップがかかる感情の鎖が外れ、剥き出しの感情がその鳥の絵柄として表現されることは、私にとって目を塞ぎたくなるものだったのです。
彼は話をしません。
神の目からの独白のようなものが文字で語られるのみで、簡易的な鳥描写なので細かい視線から感情を読み取ることは出来ません。
それでいて冒頭から彼の父親は母親にDVをして警察に連れて行かれるは母親はヒステリックだし、一緒に住むことになるおじさんはぐうたらだしでかなり過酷な立場なんです。
そんな状況なのに表情を読み取ることが出来ず、話はどんどん痛々しい方向に向かっていて、合間に挟まれる笑っておけばいいようなシュールさのようなギャグのノリも、私にとっては畏怖というか狂気染みたノリで感情をぐちゃぐちゃに駆け巡っていきました。
その痛々しさを感じることは別に不快だとかそういうものではなく、もちろん良い意味で胸をえぐられるものではありましたが、この漫画は人を選ぶぞという気兼ねを感じました。
考えてもみて下さい、上記の表紙画像で挙げた簡易的な鳥がリアルな登場人物達の中で気分が沈めば顔をベッドに突っ伏したり困れば汗をだらだら撒き散らしたり、浮いてる次元を通り越して痛々しさがストレートに胸に響きます。

これが巻を追うごとに連れてプンプンは何か衝撃が走った際には目だけリアル描写になったりして、読者(というか私)の心をさらに鋭利な刃物で傷つけていきました。
最初の頃は目が点だっただけにまだ可愛いなんて余裕のある目で作品を見れていましたが、もうここまでくると怖い。
そこにきて気付く鳥描写の意義。
細かな表情を読み取ることが出来ない分、反応する際の感情の爆発をこの鳥が受け皿として担っているのに気付きます。
人物の細かな表情から伝えるのではなくワンテンポ介さないで直接伝えてくる感情の凄み。
本来あるべき絵柄の統一感から与えてくれる良さを殺した代わりにとんでもないものを読者の心に刻み込んでるんだと思うんです。
良くも悪くも心に残る漫画であることは間違いないでしょう。

そして展開は3巻を過ぎて一時的にプンプンのおじさんを主点として描かれるようになります。
おじさんの話は現在レビュー時点での4巻にて着地点を迎えるわけなのですが、ここまでに至るおじさんの話もかなーり衝撃的です。
一言でいうなれば艶かしい&生々しい。ドラマとしてここまで痛々しいポテンシャルを遺憾なく発揮できるというのは率直に素晴らしいとしか言い様がありません。
もちろんこの過去編は恋愛的な話での展開と着地点なのですが、着地後のプンプンが不憫でならないという所も胸をえぐってきます。


プンプンに差し込む光はあるのか……、現在まででは大きな作品の岐路に立っているという印象で、今後どう着地するのかは目が離せない所です。

この作者が描く作風にはモラトリアム(年齢では大人だけれど精神的にはまだ自己形成の途上で大人社会に馴染めないみたいなもの )の描写の妙があるのですが、やはりそこは青春描写が上手いの一言に尽きるのかなと思います。
何にも増してプンプン一家の造形が良くも悪くも引っかかる点になっているような気がしますが、普通の漫画にはない違和感の先にある漫画表現の面白さを多くの人が体感できることを願ってます。

最後に。
絶対どう上手く捉えようとしても読んで抵抗感が出たり面白さを見出せない人が出てくると思ってます。まさに人を選ぶというやつで。
登場人物とプンプンを頭で如何に割り切れるかだと思います。
プンプンの読者フィルターを無理やり打ち破って脳内変換できるたくましい想像力が必要かも知れません。
生理的な違和感とかもうどうしようもないと思います。
そんな時は神様神様チンクルホイ!神頼みかよw(読んでないとわからないネタすみませんorz)

※新刊レビュー→5巻

※このレビューは4巻まで既読時のレビューになります


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Date:2009/03/14
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