漫画レビュー~遠藤ってば!~

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□ 恋愛・青春漫画好きへ □

潔く柔く

                梶間ーッ俺だー結婚してくれーッ!

■潔く諦め、柔く己を磨いた先には何が待つのか■

「潔く柔く」
作:いくえみ 綾
連載:Cookie (集英社)
定価:¥ 410(一部¥ 420 )


ストーリー:★★★★☆

画力:★★★★☆ 

キャラクター:★★★★★ 

構成力:★★★★★ 

遠藤のツボ:★★★★☆ 

                              総合:★★★★★

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
数話完結で送られる至高のオムニバス恋愛情景を描きます。

~レビュー~
かなりキテます、もう凄い勢いでキテる。恋愛漫画としてかなりの精度です。


まずは作品の基礎データや特徴から。
今作は恋愛漫画というジャンルにおいてオムニバスという形式をとっている所が特徴的な点であるでしょう。
オムニバスとは独立した短編の集まりをもって1作と成した作品形態のことです。
作品の絵柄は表紙画像からも読み取れますが、淡く繊細なタッチでいて少女漫画においてはかなり上手な(万人受けする)画風だと思います。

さて、オムニバス形式ということなのでその良し悪しがあると思いますが、どうしても悪いというか惜しいと感じる点が私の中では大きいのでその点を。
物語が、いいなぁきゅんきゅんするなぁーこれからが本番だぜ!という所で次の人物達の話に移行してしまう点。

オムニバスなのだから当たり前だがな('・ω・`)

もちろんな話なのですが、そう思ってしまうほどに短編毎のクオリティが高いんです。
しかしそんな一本ストーリー至上派の層にも配慮されている点もあり、オムニバス作品ではありますが登場人物が所々でリンクしています。
リンクの仕方は多様ですが、その話で主人公の友人だった人物が次の主人公になっていたり、いとこだったり友人の友人だったりなど様々。
とはいえ時間軸が前後する上に登場人物が入り乱れての進行になるので、漠然に読むスタイルでは話についていけない・把握できないなどの問題が起きるかも知れません。
私が読み進めた時はオムニバス作品という情報は無しに世間の評価が高いから恋愛漫画好きとしては読んでおくべきだなというテンションにまかせて読み始めたので、次々に話が変わっていくのに最初は抵抗感というか慣れない感を覚えていたものでした。
私のように登場人物にとりわけ感情移入をして読む人にとってはオムニバス形式はネックになるかも知れないことは明記しておかなければならないでしょう。


さて、恋愛漫画であるので如何に甘かったり切なかったり青春感だったりを読者に与えれるかにかかってくるわけですが、今作は切なさのポテンシャルが非常に高いように感じました。
ハッピーエンドで終わらないというか、どんまいな感じでフェードアウトする人もいればハッピーエンドのようでいて痛みを伴っていたり、少女漫画お決まりの甘~い路線をそこに感じる余地はありません。
恋愛は上手くいくことばかりではない(この場合は男女の関係が始まるまでの話で)という側面において、登場人物の豊かな心情心理からより漫画的(ドラマチック)ではない、日常よりの現実的な視点から展開される物語は切なさで塗り固められたような雰囲気を感じ取ることができます。
話の展開でもっていくのではなく、何気ない場面が続く中で人物の心情心理でもって切ない感情を抱かせる構成は、作者の表現技能のレベルが純粋に高いなぁと感じました。
そういった意味ではコテコテの甘い作風で十代の女性限定で楽しめる……のような枠の狭い作品と違って、大人の女性でも同様に楽しめることが出来るポテンシャルをこの作品は持っていると思います。

と、ここでどの層が楽しめれるかという話にもなったので触れなくてはならない点を語らせていただきたいと思います。
この作品、少女漫画に抵抗感のある男性でも概ね楽しめるように思います。
その根拠は色々あるのですが、一つは今挙げた通りこてこての恋愛漫画ではないという点です。
こてこての作品って少女漫画には多いんですよね。
アクが強い作品というか。
展開が甘過ぎてついていけないとか絵柄があまりにも少女漫画で受け付けないとかよくある話です。
しかし男性が少女漫画に抵抗感を覚える最たるものって男キャラのあまりにも女性視点で美化されたキャラ立ちにあるように思います。
私も悪い意味での男キャラのキャラ立ちの強さは、少女漫画を読む上でどうにかならんものかと常々思っている点であるというのが本音です。
何もこれは少女漫画・恋愛漫画に限ったことではありませんが、読者と同性の不人気キャラしか描けない漫画はあまり魅力的にはみえてきません。
※もちろんわざと同性に嫌われる描き方をしている作品もありますが、これは意図的なもので表現技能の成せる技だと思うのでその意味ではありません。

ここまで語ればお察しのいい皆さんならお分かりのことかも知れませんが、そうです。
今作は、男性描写が壊滅的に素晴らしい(日本語おかしいw)んです。
何がどう凄いのかというのは実際にお読みいただく他ありませんが、少女漫画のジャンルにおいて男性視点の妙をここまでおさえている作品はそう多くはないでしょう。
むしろ男性が読んでいて女性キャラにではなく男性キャラに惚れる(notガチホモ)という現象も起こりかねないほどに巧みな描写です。
ここで前回の少女漫画としてレビューした君に届けに足りなかったものの提示が出来ます。
君に届けでは男性キャラの存在感や押しの強さが足りないと位置付けました。
私が言いたかったのは今作の男性陣の心情心理の豊かさであったのです。
ただ忘れてはならないのは、これは男性読者視点の男性キャラだけに言えることではなく、女性読者視点の女性キャラにも言えるという点で、今作においては非常に大切な魅力だと思います。
もちろん感情移入できない、合わない人物というのは出てくるかも知れませんが、心理描写の妙が本当に上手なので、人物に共感できる強みというのは作品の魅力としてこれ以上ないものなのかなと思います。


ともすれば今作は女性としては幅広い層から支持を受けるだろうし、普段少女漫画を読まないような男性層が読んでも楽しめるであろうことを推測するに至って、何が足りないのだろうかと考えました。
もちろんかなり評価もされているのですが、「ハチミツとクローバー」、「NANA」、「君に届け」、「高校デビュー!」のように男性も巻き込んでの大きな話題性にまでは到達していないようにも思います。
※高校デビューは男性も楽しめるというだけでそこまで男性を含めた話題性にはならなかったかも知れませんが

そこで冒頭のお話に戻るわけですが、やはりオムニバス形式だからなんですよ。
オムニバス形式を否定するわけでもないですし、この作品はオムニバス形式でありながら人物をリンクさせて進行しているからこそ一本ストーリーで起こり得るマンネリ化のようなものも防いでいるというのもわかっているのですが、ここまでクオリティの高い恋愛漫画を描けるのであれば一本ストーリーでいいじゃない!ていう。
読んだことがある人向けに問いかけるならば、一本ストーリーでこのポテンシャルの恋愛漫画を描かれたら果てしなく恋愛漫画の最高傑作的な作品が生みだされるような気がしないでしょうか?
作者が短編物を得意にしているというのもわかりますが、今作「潔く柔く」は何だかんだで長期連載の作品になっています。
ともすれば作品が完結していない傍からこんなことを言ってしまうのは落ち着けよという話なのですが、次作こそは超大型長期連載の構想をもって一本ストーリーで恋愛漫画の歴史にその名を大きく刻む大作を描いて欲しいなと思ってます。
完全に個人的な願望でサーセンですが。


さて現在レビュー時点での9巻では、広げられた大筋の登場人物内での整理がなされ、次巻である10巻目にてとうとう主要登場人物のアフターフォローが描かれるか?という所に差し迫っています。
言うなれば作品も終わりに近づいているということでしょうか。
ということを今私がここで言った後に6巻も7巻も続いてしまうと恥をかくので断言は出来ませんが、後数巻でまとめられるような雰囲気にはなっていると思います。
でもオムニバス形式だからこそ1話1話の区切りが後を引くような終わり方で、あれでお話を終わりにしてしまうのだろうかというような思いもあるので、アフターフォローのアフターフォローみたいなことを続けていくのならば6巻・7巻というようなこともあるかも知れませんね。
作品として面白いので続いていく分にはうれしい限りですが、個人的にはスパッと潔く柔く完結して欲しいと思います(上手く言ったつも(ry)。

そういえばこのタイトルにもなっている潔く柔く。
タイトルに込められた意味が物語りの随所で感じ取れるようにもなっているように思います。
それは赦しという視点だったり成長の視点だったり様々ですが、非常に感受性豊かに読める作品だと感じました。

そんなわけで恋愛漫画好きは必読の1作ですが、少女漫画らしからぬというか恋愛漫画らしからぬ良さをもった作品です。
普段恋愛漫画を読まない人はもちろん、男性のかたもどうぞこの機会にお読みいただければと思います。

※このレビューは9巻まで既読時のレビューになります

※新刊レビュー→10巻 11巻


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Date:2009/03/28
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