漫画レビュー~遠藤ってば!~

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ワールドエンブリオ

                ヒロインであるレナがどこまで覚醒(萌え的意味で)するか

■正統派学園SF伝記ジュブナイル■

「ワールドエンブリオ」
作:森山 大輔
連載:ヤングキングアワーズ (少年画報社)
定価:¥ 590


ストーリー:★★★★☆

画力:★★☆☆☆ 

キャラクター:★★★☆☆ 

構成力:★★☆☆☆ 

遠藤のツボ:★★☆☆☆ 

                              総合:★★☆☆☆

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
私立八坂台高校に通う16歳の少年・天海 陸(あまみ りく)は人と一定の距離を保ちながら生活しています。ある日、2年前に失踪した叔母であり姉弟同然の関係だった天音(あまね)からメールを受け取る陸。助けを求めるメールには添付された画像がついており、奇しくもその場所は彼女が失踪した病院でした。陸の心を閉ざす原因となった彼女の失踪事件に繋がるメール。世間体では死亡扱いされている彼女からのメールに疑心暗鬼になりつつもその場に向かう陸。そこには異形の化け物達の陰が……。棺守(カンシュ)と呼ばれる怪物とそれに対峙する組織に巻き込まれることになる主人公の活躍を描きます。

~レビュー~
知る人ぞ知る、「クロノクルセイド」を描いたことで知られる作者の本格的な後継作品として連載が開始された今作。
表紙からはほんわかした萌え絵を連想させますが、中身はしっかりとしたストーリー漫画としての魅力が詰まっている作品です。

まずはあらましに続く作品概要を整理してみたいと思います。


今は廃墟となっている病院に向かった陸でしたが、ヤンキーの溜まり場になっていたその病院にはヤンキーと襲われそうになっている女性の構図。助けに入る陸でしたが、もちろんピンチになるわけですね。そんな時に偶然にも幼い時からの顔馴染みだった青年と謎の美少女に助けられる陸でしたが、携帯電話の着信を耳にしたヤンキーが突然化け物になってしまいます。
着信とホラーというのは着信アリなどの作品を思い起こしますが、現代ならではの視点で新鮮です。
化け物の造形も人物の萌えな感じとは打って変わり、練り込まれている感じのクリーチャー群なので、作品の世界に読者を惹きつけるには申し分のない描き方だと思います。
どちらかというと気持ち悪い系でしょうか。
詳しくは読んでいただくとして、その化け物と化け物と戦っている組織に巻き込まれていきながらも失踪した天音の手掛かりに近づいていくというのが大筋になっています。


作品の傾向としては尻上がりタイプの作品でしょう。
1巻目では物語特有の専門用語がこれでもかというくらいに詰め込まれており、そして伏線も張り巡らされていくので、読み手としては内容に入っていきにくい側面があるかもしれません。大雑把にみるならば、

・ウイルスのような「何か」に感染した人間のなれの果て=化け物を「棺守(カンシュ)
・棺守を伝染・発生させている源となる棺守でキー人物=「感染源
・刃旗(じんき)と呼ばれる武器を使って棺守に対抗するための戦士=「刃旗使い
・その刃旗使いをまとめあげている機関=「F・L・A・G(フラッグ)
・そのF・L・A・G(フラッグ)を事業として匿っている大元の携帯電話業界の大手企業=「NEFT(ネフト)
・刃旗使いを目の敵にし刃旗使いの力の源である刃旗核を奪うタカオという存在=「刃旗狩り

この辺りを押さえておけば作品には入っていきやすいかなと思います。
2巻になるとオーソドックスな作品の入り方だったものが段々と細分化してきたり、人物の掘り下げだったり主人公を本格的に物語に入り込ませる構成などが相まりストーリー漫画としての良さが広がっていきます。
そのストーリーとしての良さを支えるのが棺守の設定なのかなと思います。
ここまでの話を読んでこう疑問に思った人がいるかもしれません。

棺守にされた人々の周りの人間が騒ぎ出して一大事に発展していかないのだろうか?

実は棺守には忘却能力というものが備わっており、棺守化した人間や棺守により殺された人間など、棺守に関わる一切の記憶が周囲の人間から失われてしまいます。
話が上手すぎwとも思ってしまいますが、まぁそこは漫画の良さです。
愛する者だった人を忘れながらもどこか日常のふとした瞬間に体に馴染んだ行動をとってしまう人々の描写も合間に入り、結構考えさせられる内容になっていたりします。

死んだら自分のことを覚えてくれる人はどれだけいるのでしょうか?

突き詰めていくと生きているうちに何を残せるんだろうってことだったりそもそも生きるって何だとかも考えてしまうわけですが、作品のテーマとしてはそのようなものも見え隠れしているのかもしれません。

3巻以降からが作品の本当の始まりなのか、主人公や周りの人物達の人間臭い成長を丁寧に描いており、伏線を消化すると次に現れる伏線という風に物語りがしっかりと練られており、表紙やイメージ先行では見えてこない物語としての良さが出てくるように思います。
成長の過程も丁寧に描いてます。
ただ、物語の全容というものははっきりとは見えてこないので、その点をどう見るのかによって評価が変わってくるやも知れません。
徐々に魅せるとはいっても不透明であるか出し惜しみ(良い意味で)なのかというのは違うと思ってます。
私個人としての感じではですが、作者としては徐々に作品の広がりを魅せていっていると思っていても不透明さがフラストレーションとして溜まる側面を感じずにはいられませんでした。
気にはならない程度ですが、伏線の出し方と回収の仕方は非常に上手いんです。
が、一押し足らないというか……。
上手くまとまりすぎているというか面白さの起爆剤となる詰めの一手が欲しい。
そこは私の感じた読んでの感触なので、あまり作品の大枠としての評価としてはみないでもらって結構です。

又、主にパートナーとなる上記で謎の美少女と挙げた人物との恋愛模様なども巻を追うごとに絆という側面から描かれるので、その手の要素が気になっている人がいましたらありますよということで一つ記述させていただこうかなと思います。
ただ全体的に感じたことですが、登場人物の個性は出ているように思いますが、人物間での関係性においての描写は惜しいと感じました。
その場その場では魅せるキャラクター陣も、物語の繋がりという観点で見てみるとやや薄い。
実は今作は青年誌で連載されている作品ですが、少年漫画的要素が強いので、作品の雰囲気をどちらに振り切るのか中途半端な所があるのかも知れません。
生きている人、棺守になってしまった人から読者に考えを巡らさせる道筋は青年漫画的な良さがあるのですが、バトルの展開を含んだ人間関係は少年漫画というかジュブナイル特有の臭さがあるので、何とも不釣合いな感じを印象として受けました。
バトルも結構やっつけとまではいきませんが、せっかく刃旗使いの固有の能力バトルになりそうなのにバトル漫画になるにはちと推しが弱いかも知れません。
この辺りの不安定さが一本しっかりと絡み合えば作品として良くなる、と個人的には思いますが上記で挙げた通り、だからといって人物自体の魅力がないのかといわれるとそうでもない。

特に絵柄が萌えっぽいということもあるので、女性キャラの描写はいちいち萌えを刺激します。
この辺りは作者の経歴を確認して納得なわけですが、萌えは萌えでも男女ともに受け入れられ易い類のものかなとも思います。
男性描写でも萌えを感じられる点もあり、その中でも男女ともに萌えるという意味では表紙画像にも写っている幼女は作品の最大の鍵であり萌えでも最大のポテンシャルを有しています。
結構あざとい萌えかも知れませんが、萌え漫画が嫌いな人が嫌悪するような類のものでもないような気がするので、作品の魅力として私のレビューでは取りあげておきたいと思います。

この辺りでまとめてみたいと思います。

総じると、根底としての作品の面白さには安定があるので読んでつまらないということにはならないように思いますが、大きな期待を込めて読み進めると肩すかししてしまう可能性のある作品かな、と。
評価でいえば最近の巻数での流れは総じて面白くなってきていると感じる点はありますが、その魅力というのは特出した魅力ではあるものの総じたレベルで一定水準という所までは自分の中では到達していないというのが正直な所です。
丁寧に描かれていることと面白くて次の巻数にも自然と手が伸びることは厳密に=ではなく、個人的な話をしてしまうならば自然とは手が伸びにくかったです。
私自身、世間の評価が高いので隠れた良作だという目線で作品を購入、読み進めていったのですが、期待値が大きすぎたなと反省しています。
面白いけれど惜しい作品、ただ作品としての伸びしろはまだまだあるようにも感じます。
展開の凄み、人物間の描写の妙(ついでに恋愛描写もっと上手くなって欲しい)が今後、今以上に描かれてゆく可能性は高いように思います。
現在レビュー時点での5巻までではようやく起承転結でいう所の承が済んだのかなという印象なので、二桁前後で完結しそうという気兼ねも持ちますが今から作品に入る分には可もなく不可もなくといった所だと思います。
今後、巻を重ねる上で1ランク評価を押し上げるということは大いにあるかも知れません、その際はこちらのレビューに分かるように追記したいと思います。

余談になりますが、かなりアニメ化しやすい作品だと思ってます。
いつかはなるのかなぁと思ってますが、さてなるんでしょうか。
また、単行本はカバーを外しても楽しめたりする類の遊び心を組み込んでいる作者様です。
意外にこの試みを実践している作品って多いと思うのですが、見ない人は見ないのでもったないですよね。
この機会にお手元の作品のカバーをめくってみてはいかがでしょうか?
面白い小ネタが顔を出すかも知れません。



この点が惜しいみたいな見方をしてきましたが、面白い作品であることは間違いないです(というか面白くないものは紹介しないスタンスなので自分のその基準値は超えた作品です)。
今作が気に入った人は、以前レビューを致しました「BLOOD ALONE」や「神様ドォルズ」なども伝記系統で似通っている側面が少なからずあるのでオススメします。

※このレビューは5巻まで既読時のレビューになります


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Date:2009/04/22
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