漫画レビュー~遠藤ってば!~

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町でうわさの天狗の子

                松中さんの眼鏡の奥の笑顔、プライスレス

■ファンタジーと現実の溶け込んだ素敵な空間■

「町でうわさの天狗の子」
作:岩本 ナオ
連載:flowers (小学館)
定価:¥ 420


ストーリー:★★★★★

画力:★★★☆☆ 

キャラクター:★★★☆☆ 

構成力:★★★★☆ 

遠藤のツボ:★★★★☆ 

                              総合:★★★★☆

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
天狗を信仰する町、緑峰町(りょくほうちょう)。この町では「山には天狗、川にはカッパ」という考えが根付いており、天狗は地域の守り神として崇められています。緑峰山(りょくほうざん)には康徳神社(こうとくじんじゃ)といわれる神社があり、その長である康徳坊(こうとくぼう)の娘・刑部 秋姫(おさかべ あきひめ)はいわゆる少女体質な女の子。けれど、周りの子と違う悩みを持っていました。彼女は天狗と人間の間に生まれた女の子だったのです!好きな人の近くで普通に生活したい秋姫ですが天狗の世界の慣わしと無関係なままという生活も難しく。天狗系青春物語、始まります。

~レビュー~
ジャンルとしては少女漫画の系列なのかも知れませんが、まず男女ともに楽しめれるポテンシャルを持っている作品だと思っています。日常系に恋愛要素がじわじわと絡んでくる作風ですが、個人的には一番大好きな道筋を辿っている作品です。さぁレビューしていきましょう。

まず何を差し置いても称されるは世界観の構築と作品の空気感の魅力であると思っています。
今作の主人公・秋姫は天狗と人間のハーフの女の子です。表紙画像で言うところの左の人物ですね。
天狗という設定が大きく作品に絡んでくるというのはなかなかに斬新ではありますが、それ自体の発想というものは何も昔からありました。
人間界と~界という設定においてその世界が交わる作風とでも言えるでしょうか。
その中でも今作のアプローチの仕方はハッとさせられます。
交わり方が限りなく自然でいて溶け込んでいる点です。
日常系漫画にみる魅力のそれは、女子高生としての日常に天狗という設定(=ファンタジーとしての側面)が心地よく絡み合いとても穏やかでいて不思議な作風をかもし出しています。
天狗の娘である秋姫は本来ならば山に入り立派な天狗になるための修行に勤しまなければなりません。
しかし天狗になるということは外見も天狗になってしまうことなので、それに抵抗感を覚えてしまう秋姫の心境はとても青春時代の少女の心情を巧みに表現しています。
父である天狗の康徳様は娘を溺愛しているので広い心で秋姫を見守っていて、そんな空気が作品の暖かい空気を演出しています。天狗としての能力はかなり高い、天狗の地位としてはお偉いさんの康徳様。
天狗達の顔のカットが意識的に入っていないのもまたじわじわ描写で素敵です。
天狗の世界の描写が作品に深く主張してくるわけでもなく、しかし人間の世界と限りなく近い所で交わる作風だからこそ独特の和っぽさとまったり感を生み出しているように思います。
秋姫には幼馴染がいて、乳姉弟の仲でもある榎本 瞬(えのもと しゅん)の存在が作品の恋愛や青春の要素を引き立てているバランスの良さも巧み。
この瞬は天狗になるための修行をしていて、秋姫の父の元で日々鍛錬に励んでいます。
秋姫とは真逆の道を歩もうとしている瞬ですが、彼は他人との距離を置きながらも秋姫のある種お守り役を康徳様から命じられているポジションなのですが、秋姫のことが好きという描写は出てこないのです。
ここが非常に惹かれるポイントで、秋姫が恋をしているのは同級生のイケメンで康徳神社に代々縁のある家の出の神谷 武(かみや たける)という人物になります。
どうせイケメンだけどムカツクやつで瞬が助けに入ったりしてお約束のパターンになっていくんだろう、と始め思っていた私でしたが、このイケメンが根っからのお人よしというか良い人なんですね。天然気味?
瞬とタケルも相性が悪いというよりはなかなか気が合う同士で、瞬は色々と思う所があるはずなのですが、この2人の関係を見守っていきます。
そっけない態度の瞬が2人の姿を見て時折何とも判断出来ない無表情を見せるカットはまさにめしうま状態。
そんな中で瞬の周りに女性の影がちらついたりすると不安になったり、瞬にとって良いことがあると自分もうれしくなる秋姫の描写もまた、めしうま状態なわけですね。
こんなことを書いているとその流れの構図はお決まりだと思われてしまうかも知れません。
しかし、このやり取りが媚びずにというか作品の大筋としては意識せずに描かれていく所がツボとでもいいましょうか。
作品の空気は至極恋愛染みてはおらず、日常系と天狗というファンタジーの要素が緩やかに流れているからこそ引き立つ描写だったりします。
至極恋愛染みていない空気とは言いましたが、描かれる展開は恋愛漫画でまず間違いないんですよね。
それをコテコテの恋愛漫画以外には読み取れないという作風にせず、ツボをついてくる描写のテクはかなりのものと見受けました。
この感覚については実際にお読みいただく他ないようにも思いますが、恋愛漫画をあまり趣向にしないような人でも上記で挙げてきた空気というものがあるので気に入る作品になりえるのではないかと思う次第です。
また主に高校入学から話は広がっていくのですが、新入生特有というか学生特有のクラスメイト同士のやり取り(友達が出来たりイベントでクラスが団結したり仲違いしたり)も一定水準以上の巧みさで表現されていくので青春漫画系統としての良さも◎。


と良いこと尽くめな作品のようにも取られがちですが、少しだけ気になった点も書かせていただきたい所。
実は秋姫は計算できるようなタイプではなくどちらかというと純粋な性格なのですが、恋に一直線な点から感じるもやもや感。
普通に生活したいという願いの反動でそんな乙女体質になっているというのは理解できるしありだなとは思うわけですが、周りの人物(瞬を始めとする)が大人というか達観したカッコよさみたいなものを兼ね備えているので読んでいて秋姫が浮いてる感を若干私は感じました。
それも含めての成長物語として描かれていくのならば良いのですが、この構図がいつまでも続くようでは気になる人にとってはマイナスになっていくかも知れません。
かなり微々たるポイントですが、そういうようなことも感じるかも知れませんよということでひとつ。

また天狗というファンタジーの側面もなかなかに魅力的なものが詰まっています。
表紙画像にも狐やら階段の下にたぬき(見えにくいですが)などがいますが、この動物達もまたモブキャラではない登場人物達になります。
人の言葉を喋る動物達はやっぱり可愛いですね。
彼ら(今の所は男しかいないようなのでそう呼びます)は神の守護やお使いをするものになるための修行を天狗の下で行っている存在で、瞬とあまり違いはない存在とでも言いましょうか。
彼らもまた自然と作品の世界に溶け込みながら今作の魅力の幅を広げる存在になっています。

個人的には恋愛好きなのでその要素もちらちらと垣間見える今作はグッジョブと叫びたくなります。
ということで次に個人的にツボだったポイントなどを。

秋姫の親友の松中さんの存在。
眼鏡で無口といった彼女ですが、彼女の恋の模様が描かれる話は破壊力ぱねぇという。
眼鏡の奥にちらつかせる照れた表情は、狙っている萌え漫画でのそれとは違うはずなのにそれを上回るポテンシャルを秘めています。
また、秋姫とは中学時代からの友人である赤沢さんの伏線。
先ほどお話した動物達ですが、彼らは当たり前ながら人の姿に変化することが出来ます。
狐の三郎坊が人の姿になった際に彼女が一目惚れのようなものをした描写があり、その後の展開が待たれる形になっています。
気になる所ですが話の大筋には現レビュー時点では介入してこないので、この辺りも注目所でしょう。
また鞍馬山(源義経が天狗に師事したといわれる有名な天狗のいる山)の偉い天狗の娘・烏丸 紅葉(からすま もみじ)の存在も忘れることは出来ないでしょう。
色々経緯があって秋姫達の住む町にやってくる彼女ですが、瞬と良い感じの仲になったりするんですね。
これがまた可愛い。
破壊力ぱねぇです(本日2回目)!
しかし恋愛感情は今の所は感じられず。
個人的にはベタな展開でも構わないので秋姫の心をさらに揺さぶる存在として瞬に惚れてくれればとも思っているのですが、あえてそこで惚れるような道筋になっていないのが今作の上手い所なのかも知れません。
むしろその描写がないからこそ紅葉株がうなぎのぼりということがあるかも知れません(男女どちらも的意味で)。

※今後どうなるかは今のレビューの時点ではわかりませんけどね

痒いところに手が届かないからこそというやつでしょうか。
読者は必死に背中を掻こうとするでしょう。
届いてしまっては満足するまで掻いて、はぁー気持ちよかったで終わりです。
届きそうで届かない所に作品に酔いしれる為の妙があるのかも知れません。
何だかんだでこのことは作品全体にいえるのかもしれません。

読ませるための心得に深遠な魅力を感じる今作者初の続き物になった今作、3と4の境目で限りなく悩みましたが個人的には厳選プッシュということでファンタジーの融合の巧みさをもって個性の確立、4です。

※このレビューは3巻まで既読時のレビューになります


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Date:2009/05/09
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