漫画レビュー~遠藤ってば!~

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少女ファイト

                誰を選べと言われればそりゃ学を選ばざるを得ない

■萌え悶える全ての要素が詰まっとる!■

「少女ファイト」
作:日本橋 ヨヲコ
連載:イブニング (講談社)
定価:¥ 620(一部特装版は値段が高いです)


ストーリー:★★★★★

画力:★★★★☆ 

キャラクター:★★★★★ 

構成力:★★★★★ 

遠藤のツボ:★★★★★ 

                              総合:★★★★★

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
中学→高校のバレーボール部を中心とした群像劇を主軸に展開するスポーツ漫画である今作。大石 練(おおいし ねり)・15歳。バレーボールの名門・白雲山学園中等部に在籍する彼女はずっと自分を抑え続けていました。小学校時代に全国大会で準優勝したチームのキャプテンであったほどの実力を隠しながら自分を殺す毎日。そこには一体どんな理由が隠されているのか。彼女が出会う仲間達との絆と心の成長の物語が今まさにゆっくりと動きだそうとしているのでした……。

~レビュー~
一言で言うと面白すぎて漫画ヤバイ状態になってしまうほどの傑作だと思ってます。スポーツ漫画としての仲間達との熱さ、青春時代を運動部で過ごす際に出てくる青春や葛藤(強いては恋愛)、個性的で魅力的な人物像の掘り下げ、題材とするスポーツ特有の特徴の掴みのセンスの良さ、ドラマ要素としても殊勝で会心の1作……全てにおいて抜かりが無く高水準、そこに顔をにやにやにさせてしまう萌え描写をも高次元で挟み込むその多種多様性。十代を生きる若者ならではの思春期の危うさと美しさをここまで魅力的に描ける作者の才能に脱帽。スポーツが苦手であまり触れてこなかった人、青春時代はスポーツに打ち込んだ人、こどもから大人、男性も女性も、必読の1作。

まずは絵柄からみていきましょう。
表紙画像になっているのが主人公の大石練その人です。名前はねりと読むのですが、最初私はれんと読んでましたw
表紙画像を見ればわかる通り、独特の描写をする作者です。
パーツ毎がはっきりしているというか太くはっきりとした絵だと思われるはずです。角張ったとも捉えられがちですが、実際に中身を読み進めていくと柔らかさ(体のライン的意味で)も兼ね備えており、絵柄で苦手に思うということはないと思います。良い意味で個性的です。

体のラインのエロさ、やりおる!たまらんねあのボディーライン!

さて肝心の物語ですが、作品の道筋(展開の流れ的意味で)と人物の掘り下げに関しては類稀な才能でもって描写されていると言えるでしょう。
スポーツ漫画であれば弱小校が天才の主人公を得て天才コーチを得てどんどん強くなっていくというのが王道でしょう。
逆の強豪校の中で切磋琢磨するという流れもあるかも知れません。
又は素質のある問題児ばかりが揃っていて絆で強くなっていく。
今作で言えばイメージは後者になります。
そんな所で順に従って魅力を追っていきましょう。

あらましの続きになりますが、過去のトラウマが原因で名門中学校での部活内では球拾いなどの雑用を毎日3年間の日々を送ってきた主人公・練。そのトラウマとバレーボールという球技の相性の良さは素晴らしいチョイスとしか言えません。
姉を追って始めたバレーボール。突然訪れる姉の死、それからひたすらにバレーボールに打ち込んでいく練でしたが、そのプレイはチームメイトの誰一人も付いてこられないほどで、「狂犬」とあだ名がつくほどでした。孤高の天才にして協調性の欠けるプレーの数々、仲間は練の周りを離れていきます。
それがきっかけで臆病になる練でしたがバレーから離れることは出来ず、中学時代を過ごしているんですね。
もちろん下地に己の努力があることは言わずもがなですが、周りよりも上手い自分と自分より下手な仲間。運動部に所属していた人はこの兼ね合いで揺れる色々な気持ちが痛いほどわかるのではないでしょうか。個人競技であればまだ遠慮はせずに済むかも知れませんが、団体競技であるならば難しい問題です。周りに合わせながら目立たないのが良いことなのか?はたまた目立ち過ぎた故に仲間達から見て鼻につかないか?スポーツをする上では妬みや嫉妬という存在は必ず付き纏ってきます。真剣に打ち込めば打ち込む程生まれるものです。今作はその描写を描くことが非常に巧みです。人物間での心理と周りとの兼ね合い、ここまでの妙で描かれるというのは衝撃でありそして引き込まれます。

少し脱線して話すことをお許し下さい。
私も学生時代は球技を扱う部活動に所属していました。バレー部が体育館の半分又は日によっては全域を使って練習をしているのを毎日のように見ていましたし男バレ女バレともに友人もいたので色々と話をしあったり懐かしい学生時代の思い出です。
特にバレー部は強豪校だったので今作を読んでいると懐かしさとともにその描写のリアルさに驚かされました。
所々フォームがどうなど細かい所はわかりませんが描写としてはわかっているなぁという突いてくる良さがあると思います。
作者は小学生の時期にバレーボールをやっていたようで「人に気を使う球技」・「人生の縮図」として感じたとし、作品の題材にしたかったと述べているようなのでそれを聞いてなるほどという思いです。

さて話が逸れてしまいましたが、バレーボールというのは集団競技のみなので取り分けチームワークが否応なく肝心になってきます。
今作の練がトラウマになってしまった壁というのはバレーボールという競技においては致命的という面でここからの成長を描くというのは上記に挙げたとおり組み合わせの妙があると言えるでしょう。
物語が本格的に動き出すのは2巻目からで、1巻は練が一歩前を踏み出すまでの過程をじっくりと描きます。
ですので1巻だけで作品の総評を形作ってしまうのは早計でしょう。
1巻丸ごとを序章として扱いなおかつその展開はなかなかに重く。
しかしそれは読めばわかるでしょう、2巻からのギアチェンジの為の溜めなのだと。
一度読み勧めしまったら読む手を止めることが出来ない群像劇、物語を大きく語ってしまうのも野暮ですので物語の大筋はこの辺りに留めておきたいと思います。


次に人物の魅力に迫っていきたいと思います。
これまでをストーリーとしてのドラマ要素としての妙と位置付けるのならば、次に挙げるのが人物の、いや私の言葉で言うならば「にやにや」要素としての萌えの良さであるといえます。
先に恋愛脳でサーセンと言っておきたい所。
正直下手な恋愛漫画を読むよりもきゅんきゅんします。
そして下手な青春漫画を読むよりも胸を熱くすることが出来ます。
本当に抜かりのないというか隙のない素晴らしさです。

全ての人物の魅力を追っていくのでは延々といつレビューが終わるのかわからないのでw、キーとなる人物の相関だけ話したいと思います。
まずは主人公周りです。
練には幼馴染の兄弟がいて、それが大石家の向かいに住んでいる式島家の兄弟です。実家がスポーツ整体で有名な式島整骨院ということで練の姉ともども4人で幼馴染の関係を築いていました。
式島家の兄・式島 滋(しきしま しげる)は練達の1つ上の学年で、冷静沈着にして合理主義的で眼鏡をかけた人物です。まさに頼れる兄貴にして周りからの人望も厚く、もちろんバレーの腕も超一級。
しげるはまだ練の姉が生きていた頃に練の姉に淡い恋心を持っていました。
そして練が淡い恋心を抱いていたのがしげるなんですね。
これだけでも切ねー!(顔がにやにやするの誰か止めてくれー)という状況なのですが、式島家の弟・式島 未散(しきしま みちる)の存在がそれに拍車をかけます。
彼は厳格に育てられた兄・しげるの元で放任主義で育てられた人物で、根は良いながら不良気質です。もちろんバレーの腕は超一流。ともすれば荒れた性格になり兄とも不仲になるというのがお決まりのパターンであるのですが、兄が家でとても厳しく強いられている苦労を知っている為に兄をとても尊敬しています。
そんな尊敬している兄でしたが、実はみちるが好きなのが同い年の練。
来ましたねこの描写。
しかしです。練の姉が突然の交通事故で亡くなってしまってからはしげるは練を見守るという立ち位置に変わっていき、いつしか練のことが好きになっていくんです。
それに気付くみちる。しかし彼は何でも自分に譲ってくれる兄の本当に大切な物(練)は奪わないと誓い、自ら練とは距離を取っているんです。

な、なん……だと!?

この兄弟の兄弟にしかわからない兄弟愛というものも繊細に描かれており、なんというか悶えてしまう自分がいました。
にやにやで他人には見せられない顔になってしまう程の破壊力が、そこにはある(と思う!)。


さてそこにもう1人作品の鍵になっていく人物がいます。
彼女の名前を小田切 学(おだぎり まなぶ)といいます。
小学校時代、肥満を理由にクラスメイトにいじめられているところを練に助けられ、叱咤激励された彼女。
眼鏡をかけていて頭脳明晰、漫画家志望で練を主人公とした漫画を描くなどパッと見で残念な子として最初は描かれるんですね。
髪型なども冴えない運動音痴で文学少女といった出で立ち。
加えて当の練本人には忘れ去られているという。
練とは中学が変わってからもその憧れと尊敬は変わらず、しげるとは小中と一緒で分け隔てながら接してくれるため仲良し。

彼女、化けます。

化けるという表現はちょっと語弊があるのですが、元々優しく豊かな人間性も持ち合わせており、場の空気や他人の気持ちを推し量る能力に長けているので芯の強い人物なんですね。
中学の頃に謎の高熱が続いて体重もすっかり痩せてしまう学。

じわじわポテンシャルの片鱗が……。

高校入学とともに偶然練と同じ高校の巡り合わせになった彼女。
ひょんなことからバレーボール部と関わっていくことになるのですが、心を閉ざしていた練を彼女が心を開いていくことになります。

この構図、破壊力やばいです。
心優しき芯の強い彼女が練の心を開いていく描写は本当に素晴らしい。
最初練に他の人に紹介される際に知り合いという言われ方をしていた学は、仲良くなった後に練に自分と練が「友達」であるかを聞くことが怖くて出来ないという描写が挟まれます。
この辺りの描写も胸きゅんなんですが、練にとって足りないものを持っている学。
練に憧れて尊敬していたという学が練の道しるべになる展開、いつしか心を開いた練が彼女に微笑みかけるその笑顔。
学の最初の状態を知っている読者としては感無量。
これはもう実際に目にしないと伝わらない素敵な描写です。

そしてまた、彼女が眼鏡をコンタクトにして長めの髪をばっさり切った時、もう目の前にいるのは名ヒロインと言わざるを得ないでしょう。

学可愛いよ学

この彼女がある諸事情からみちると形式的な恋人関係になるのですが、その辺りの描写と展望はにやにやし過ぎて顔の筋肉が崩壊してしまう程の描写力。
一方で練としげるも徐々に良い関係になっていき、乙女になっていく練もまた破壊力がとんでもない程のにやにやを読者に与えることでしょう。

何なんだこのポテンシャル!?ヤバイヤバイヤバ(ry

詳しく話してしまうのは野暮ですので是非その目で恋愛・青春のターンの描写力の妙、見ていただきたいと思います。




その他どの登場人物も個性的で魅力的な人物ばかりです。
活き活きしているその登場人物達は全員が主役であると言ってよいかなと思います。それぞれの仲間が心に負っている闇があり、それを丁寧に描きつつ克服しながら絆を深めていく展開は一言で表せば出版社の言う通り、

「バレーボール群像劇」

であるでしょう。
加えて前に言葉を添えさせていただくのならば「極上の」という言葉を添えさせていただこうかなと思います。
は文句なく5つ、これでいてまだ5巻なのですから、今後のポテンシャルを加味するならばどこまで盛り上がるのか末恐ろしい限りです。
どこまで魅せる作品になるのか、完結までは本当に死ねないと言わせしめる傑作。

余談になれば、今作は微弱の百合な空気も作品に纏っているかなと思います。
私みたいな百合大好物な人からそうでない人までおススメです。
またレビュー時点での5巻で話をさせていただくならば、ある人物のツンデレまでがっつり描写されまして、現代的な萌えにまでちゃんとカバーしている今作は冒頭で表した通りに、全てにおいて抜かりが無く高水準な作品だなと改めて思うのでした。

※このレビューは5巻まで既読時のレビューになります


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Date:2009/05/21
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