漫画レビュー~遠藤ってば!~

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とめはねっ!鈴里高校書道部

                加茂ちゃんの細目は未知のエリア。加茂可愛いよ加茂

■書道部系青春グラフィティ■

「とめはねっ!鈴里高校書道部」
作:河合 克敏
連載:ヤングサンデー (小学館、08年に休刊)→ビッグコミックスピリッツ (小学館)
定価:¥ 540(一部¥ 530)


ストーリー:★★★★★

画力:★★★★☆ 

キャラクター:★★★☆☆ 

構成力:★★★★★ 

遠藤のツボ:★★★☆☆ 

                              総合:★★★★★

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
カナダ帰りの帰国子女・大江 縁(おおえ ゆかり)。中学卒業を機に鎌倉市のとある高校に入学した「彼」でしたが、女性らしい名前から連想させる慎ましやかな、非常に大人しく気の弱い性格です。廃部寸前の書道部の先輩に目を付けられたが最後、弱みを握られてしまい半ば強引に入部することになります。書道の世界を学生時代の部活動という青春劇と絡め、より広義としての書道の魅力を打ち立てる今作。彼の淡い恋愛模様は成就されるのか!?主人公が入部することで次第に本腰を入れて活動を始める鈴里高校書道部の活躍を描きます。

~レビュー~
題材に対する研究心、書道を漫画に興す視点の斬新さ、この題材が持ち得ている狭義でしか楽しめる人がいなさそうというイメージに反してより広義の層に作品の面白さを伝えることに長けた作者の総じた漫画家としての才能……、書道というテーマに際し落ち着いた雰囲気を崩さない世界観の構築も見事。天文部を題材にした「宙のまにまに」、部活動としての競技かるたを題材にした「ちはやふる」、アニメーション研究部を舞台にした「ハックス!」など最近では文化部漫画の快作が次々に生まれていますが、今作もその流れを後押しする1作であるでしょう。さぁ、見ていきましょう。





加茂可愛いよ加茂!

!?

というわけで、抑えられない衝動を押さえ込みつつ(笑)、まずはあらましの続きからみていきましょう。
ひょんな誤解から先輩達の悪知恵により書道部に入部してしまうことになった縁。
書道部の面々は流石の描写ということで美少女先輩が脇を固めています。
とても優しく真面目で面倒見も良い書道部の良心で部長の眼鏡美少女・日野 ひろみ(ひの ひろみ)。身長175cmの長身で目的のためなら手段を選ばない周辺のヤンキー達から一目置かれているという謎の細目美少女・加茂 杏子(かも きょうこ)
穏やかで清楚なお嬢様気質だが実は加茂と並ぶ悪知恵に長けた端麗美少女・三輪 詩織(みわ しおり)の3名。
5名を超えなければじきに廃部になってしまうということで、縁を入部させることに成功した書道部の面々でしたがもう一人足りません。
そこで物語に深く関わってくるのが今作のヒロインでもありもう一人の主人公とも呼べる望月 結希(もちづき ゆき)の存在です。
縁のクラスメイトでもある望月ですが、実は入学式の日に縁が一目惚れしたのが彼女なんですね。容姿端麗で非常に気が強く、負けず嫌いでいて性格や思考が体育会系。極めつけは柔道では全日本で準優勝するほどの腕前をもっている点でしょうか。まさに抑え所を網羅した性格の美少女です。
メインとなるのはこの5人の活動なのですが、これだけの説明では縁……ハーレム状態乙と思うでしょうが、主人公の容姿と性格付けが巧いバランスなのでそういった側面からも作品として広義の愛され方をしているのではないかと思っています。
眠たそうな目つきからガチャピン(←キャラが分からない人は検索してみて下さい)とも称される主人公はお世辞にもイケメンとは言いづらく、外国の田舎育ちもあってかシャツをズボンに入れる(美的センス的な意味ではなく)ようなファッションセンスもあいまって印象はダサいの一言。
しかし外国に住んでいた頃に日本に住む祖母と文通していたことから硬筆の字は上手というバックグラウンドがあります。
もちろん習字そのものの概念を知ることがなかったのですから書道に関しては素人そのもの。
いわゆる運動部で言えば潜在的なセンスが非常に高い原石のような位置関係にいるイメージでよいでしょう。
定番のパターンと言ってしまえばそこまでですが、この構築の図柄を書道というテーマでも巧くかみ合わせているのは素晴らしい技巧センスではないかと思います。

そのことに関連するのですが、称されるはあまり見た目のインパクトでは目立ってこないこういった登場人物の相関の描写の巧みさだったり、書道というテーマを敬いながらも興味を持つことがなかった層にも分かりやすく伝えるための機転をふんだんに盛り込んでいる所にあるんじゃないかなと思ってます。具体的にみていきましょう。
キャラの相関という点ではメインとなる書道部の面々のバランスは流石。
例えばヒロインの望月。すったもんだあって柔道部と掛け持ちで書道部にも在籍することになる彼女ですが、同じ素人の縁には物凄いライバル視することになります。字が下手なことにコンプレックスを持っているが故に書道に打ち込んでいく彼女。縁が報われるのはいつになるのやらというか報われるのか?(笑)縁とともに素人代表として書道の世界の架け橋のような存在に徹するキャラ付けは潔いの一言。何か物足りないと思った人への配慮も忘れておらず、巻を重ねるごとに縁に女性の友達が出来たりすると心中穏やかでない描写がされるなど抑える所はしっかりと抑えています。

今後、恋愛描写ががっつりされたりしたら恋愛脳である私などは飛び跳ねて悶えることでしょう。

そして書道部の先輩達ですが、加茂と三輪も逆の意味で潔いです。面倒なことは厄介事だというスタンスから悪知恵を常に思考する彼女らですが、その主張は書道にひたむきに向き合う人物達だけでは魅せれない作品の魅力の底上げを果たしています。書道に対する読者の堅苦しいイメージは彼女らの行動によって収束している側面を感じずにはいられません。書道という存在をよりフランクに、けれど親しみやすいものにするための彼女達の活躍はそういった側面と作品のコメディ要素を押し上げる上では欠かすことが出来ません。また、だからといって書道を馬鹿にしているのかといえばそうではなく、ただの面倒屋であって心意気はしっかり持っているというのも読む上では気持ちの良い性格付けもとい配慮です。
そして部長の日野はまさに書道を愛する人を具現化させたような人物です。書道に深く携わっている者の視点代表として機能しているように思います。
今挙げたメイン人物達が繰り広げる押し問答は登場人物内での立ち位置がしっかりしている分、非常に巧みに物語に絡み合います。

これが如何に凄いことか。

テーマ云々は置いたとしても人物描写の巧みさとして称される作者の技能の高さはただただ唸るばかり。


そしてテーマである書道を伝える巧さ。
書道の基礎的な知識を身近な例を参考に物語に組み込んでいるので、全く興味のない人でも「おっ?」と掴みで作品の世界観に引き込まれることと思います。
そもそも書道というものは誰もが学生時代に体験するものですし、文字に対する美意識なんてものは日本人は皆高くもっているものだと思いますし、間口は広いはずなんですよね。
それが書道というイメージがちょっと根暗のような偏見したイメージが先行しているために取っ付き難いと思われている。
それをまさにちゃぶ台返しの如くイメージを変えるほどにさわやかに、かつ奥深く伝えているのでこれほど有意義な漫画もそう多くないように思えます。
運動部のような他校との書道の団体戦や路上パフォーマンスなどなど展開される内容は軟派なものから高名な書道家のご老人に学ぶ部活合宿などの硬派なものまで書道の魅力を様々なアプローチから実践して描いています。
また、日野部長や顧問の影山先生、書道家の三浦先生などを介してある種のうんちくとして語られる書道のあれこれも、決して重たくならずにどれもが関心するばかりの内容。
この辺りの感じ方には読んだ人毎に違った感覚を覚えるかも知れませんが、物語の進行上で自然に溶け込む形で語られているので本当に題材にしているテーマを丁寧に扱っているんだなという気兼ねを感じました。


大枠は以上のことなので、次に個人的にあぁいいなと思った側面を話させていただきたいと思います。

まず始めは学生時代の青春描写のポテンシャルが想像以上に高次元という点。
主人公周りでの仄かな恋愛面からくる甘さだったりほろ苦さだったりは言わずもがななのですが、ここにひたむきさが巧く加わっていると感じています。
主人公達の日常はかなーりゆるくまったりと過ぎていくのですが、書道に対しての熱意というかそこに描かれる熱さは運動部顔負けの実直さを垣間見ることが出来ます。
ちはやふる」でも触れたのですが、文化部というテリトリーの漫画が運動部顔負けの実直さ、ひたむきさで描写されるとぞくぞくっとする一種の鳥肌感を感じます。
最初の数巻ではまだイントロダクションといった流れで書道にかける情熱の側面は見え隠れする程度なのですが、次第に高まっていく過程は読んでいて想像以上に青春を感じました。
また、主人公である縁の成長もその要素を推しあげる役割としては十二分の描写。
まっさらの状態から書道の奥深さを学び、自問自答しながらも成長してゆく姿は、決して派手な展開はないのですが、静かでいて味のあるまさに書道というテーマに適した成長を描くことに成功しているように感じました。


そして忘れてはならないのが加茂ちゃんの存在。まぁこの辺りは完全に個人的な推しポイントではあるんですが。
まずは表紙画像をご覧下さい。
筆を両手に持っている細目(というか目はないw)の人物こそその人です。
この細目のキャラというのは以前の作者の作品にも出てきていましたが、今作ではまさに極まれり。
最初は読んでいて違和感を感じる人が大多数かも知れませんが、チャーミングな性格と書道というテーマには似つかわしくないような今時の女子高生像としてこれでもかと言わん限りに「動」としての役割として作品を盛り上げています。
時折、驚いた時に目を見開いたりするのですが、その時の美人度は異常。
一言で言えば破壊力抜群のキャラ。
細目でいて目と呼べるのかわからない黒いラインが目の加茂ちゃんですが、この目はまさに深淵なる萌え悶え要素を秘めているといっても過言ではないでしょう。
たまに照れたりする時の仕草もどうしようもないくらいににやけます。
これからの時代は細目美女、これで決まりですね。

また、細かい点ですが登場人物達のファッションセンスもしっかりと考えられて描写されている点は◎。人物毎に、性格毎に私服などもその都度違っている中で個性が出ており、例えば学校の中だけでは制服だけで見栄えがしない側面も、こうして細かい所で主張することを盛り込んでくれるとより人物への愛着が沸くように思います。ここまで色々なものに配慮しながらもそれを目立たせることなくさらりと作品の魅力を高めるために描写する作者の手腕には脱帽です。




さて、総括すると……、
今作は動きが少ない「静」の書道というテーマを多彩な登場人物達の動きと展開の軽妙なテンポで魅せる「動」とのバランスが見事に調和して現代的な青春グラフィティを為し得ています。秘めたポテンシャルを持つ主人公、勝ち気な体育会系のヒロインという定番にして鉄板な描写を巧く描写しながらも、書道というテーマに対する表現方法もより広義な、テーマを普及するという点において幅広くかつ奥深く扱っているので読む層の間口もかなり広いように思えます。
若い学生が読んでも社会人の大人が読んでも定年を迎えたご高齢な方までそれぞれが今作の魅力を感じることが出来るのではないでしょうか?
瞬発的な面白さという観点でみれば4レベルだと位置付けていますが、作品の題材を見事に漫画で伝える素晴らしさとして最大限生かしているその技量は紛れもない傑作。
基本がまったり系の流れなので動き(作品の流れや面白さの即効性)がある作品が好きな人によっては評価の位置付けは若干変わるだろうこと、お伝えしておきます。

現在レビュー時点で4巻、来月の初夏に5巻が発売ということでまだまだ連載が始まったばかりでもある今作が今後どこまで面白さを極めて傑作になるのか、是非より多くの人に読んで欲しい1作です。

※09年6月8追記:とめはねっ!ついに来年度1月よりNHKでドラマ化されるようですね。毎週木曜日午後8時から6回放送の予定ということで、NHKに好かれるというのが万人向けの漫画であるということなのかも知れませんね。ふたつのスピカ然り、心が温かくなるような漫画はチョイスされやすいのかも知れません。

※新刊レビュー→5巻

※このレビューは4巻まで既読時のレビューになります


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Date:2009/05/26
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