漫画レビュー~遠藤ってば!~

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聖☆おにいさん

                イエスとブッダどっちが作品の面白さを引き出していると聞かれればブッダ派

■神様達の戯れに突っ込まざるを得ない■

「聖☆おにいさん」
作:中村 光
連載:モーニング・ツー (講談社)
定価:¥ 580


ストーリー:★★★★★

画力:★★★☆☆ 

キャラクター:★★★☆☆ 

構成力:★★★★☆ 

遠藤のツボ:★★★★☆ 

                              総合:★★★★☆

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
ブッダとイエスが、下界のバカンスを満喫しようと東京都立川の安アパートでルームシェアしながらあーでもないこーでもないとのんびり暮らすという設定で描かれる日常コメディ。

~レビュー~
宝島社から毎年出ている漫画指標本ともいえる「このマンガがすごい!2009」にてオトコ編1位を獲得した作品であり、2009年、手塚治虫文化賞短編賞という権威のある賞を受賞していたりとその人気は周知の事実であり、今更私がレビューする意義があるのかと少し自問自答した作品でもある今作。様々な方がレビューした内容の上塗りになってしまうかも知れないなとは思ったのですが、元々が私の読んだ漫画の軌跡をまとめたいというのが意向として一番にあるので、僭越ながらレビューさせていただく運びになりました。まぁなんだかんだでいつもと変わり無いレビューになりますが、実験的に長々と書かず要点を絞った書き方が出来ればと目論んでます(無理だろうな……)。ではどうぞっ。



ということで全てはあらましに集約するのですが、歴史上の偉人であるイエス・キリストとブッダをお茶目なキャライメージにして展開する、笑える宗教ネタを中心とした緩い癒し系ギャグ漫画、それがこの聖☆おにいさんだと思います。
ちなみに作品の読みはセイントおにいさん。私などはせいおにいさんと心の中で読んでいましたが、もし友達と話題にする際などはせいおにいさん面白いよなっ!なんて言ってしまうとちょっと恥ずかしい思いをするかも知れません。
出落ちというかインパクト落ちのような即効性のある面白さが多分に含まれてはいますが、やはり称されるは人物の掘り下げ方のセンスだと思ってます。
偉人のイエスとブッダを主人公に展開するというアグレッシブさというか前衛さ。
宗教に触れるネタを笑いを絡めて展開するのですから、まさに濃いの一言。
ですが、イエスとブッダがそれぞれのエピソードネタを現代に即して面白可笑しく展開した所でここまで話題になるほどの面白さを提示出来ていたかなと思うんです。
もちろん宗教に対して何でもござれというか幅が利いてる日本という国でこの漫画という着目点自体がハイセンスなので面白いに変わりはないとは思います。
その中でイエスとブッダの性格と二人のやり取りの、言わば芸人で言うところの相性の良さは尋常ではありません。
まずは人物からみていきましょう。

イエスは、ヒゲ、ロン毛、外国人という姿でひょうきんな人物として描かれます。その姿は外国の映画俳優に間違えられるほど。ドラマの感想を綴ったブログを持っており自分のシンボルは十字架ではなくノートパソコンみたいな節が。表紙画像で言えば左の人物です。

ブッダは、家事全般が得意で、手塚治虫が描いた自分の人生の物語『ブッダ』を読み、涙を流すほど感動するような人物として描かれます。シルクスクリーン(版画、印刷技法の一種)が趣味で、自分達の着るTシャツの文字は彼が全て作っています。表紙画像で言えば右の人物です。

どちらもが天然ボケと突っ込みを繰り返しながらまったりと日常を過ごしていきます。
人物の掘り下げ方と上記で言いましたが、やはり一番のポイントは作者が宗教に絡むテーマを慎重に扱っているのがわかるという点だと思っています。
聖書や仏典などの知識をもじって笑いに繋げるということは、その筋の人にとっては心中穏やかでない側面は必ずあると思うんですよね。
でも今作からはテーマを貶しているとか貶めているというようなぞんざいな扱いは見られないというかスマートに笑いに繋げているように感じました。
これが現代風の軽い嘲笑染みたものであれば反発の声も多く上がるかも知れませんが、宗教に対する誤解や偏見は自分が読んだ上では感じられなかったです。むしろ、凄い考えて扱ってるな、と。

主人公の2人も何だかんだ色々と笑える馬鹿はするけど、基本は偉人足りえる善人の塊なので読んでいて心持ちが悪くなるようなことはありません。
ただこの辺りの感じ方は千差万別なので、宗教に敬虔な人や海外の人が読んで不快に思ってしまうこともあるのかなーとは感じてます。
私としては今作を許容できないほどであれば、それはナンセンスなんじゃないかと思ったりするわけですが、この辺りは一意見ですね。


もう1点の魅力としてはめくりページでの笑いへ持っていく巧さでしょうか。
1話を通してオチでドッと笑わせるような構成ではなく、ページをめくる直前に笑いの溜めを作ってページをめくった時に印象あるコマ割で小オチとも呼べるものを連続して展開する構成を採用してるように見えました。
そのネタが面白いかさほど面白くないかというのはまた別の話になってくるのですが、絶対次のページで笑わせにくるだろwと思ってしまっただけで笑ってしまうという、ある種作者の術中にはまってしまった私がいました。
扱うネタはいわゆる偉人ネタ(宗教ネタ)で細かなネタから誰もが知り得ているようなネタまで取り扱っているわけですが、よく調べ込んでいるなという気兼ね。
個人的な話をすれば、幼稚園を含めこれまでキリスト関連の精神を含んだ学生生活を掻い摘んでいる自分としては聖書なども持っていますしイエス関連の話題にはすんなり入っていけました。
ブッダ関連でいえば今作のブッダその人と同様に手塚治虫が描いた『ブッダ』が好きで他に偉人漫画をかじった程度でしたが、こちらもそれなりに。
8,9割のネタはわかったと思っていましたが、ネタがわかるかわからないかでも若干面白さの加減が変わってくるやも知れません。
興味がある人であまりイエスとブッダに詳しくない人は、一手間かかりますが簡単に調べてから今作を読むとより面白さを体感できるかも知れません。

ただネタとしてはワンパターンで飽きるという側面はあるのかも知れないなと思います。
厳密に言えば面白さの強弱がはっきりしているというか。
1~2巻でいえばその側面は強いかも知れません。
面白いんだけれど何か同じ笑いの繰り返しが多いので、次第にその笑いのツボに慣れてくる感覚、ですね。
しかしこの点については現在レビュー時点での3巻にてその新たな方向性を垣間見て、いやいやまだまだ今作はそんな倦怠期には入っていないんだと感じさせられました。
最初の頃は偉人ネタありきだったのですが、巻を重ねる毎に逸話と現代事情を巧く噛み合わせてより広義としての笑いに繋げるようなスタンスに変化しているように感じました。
「ありき」ではなく笑いを取れる発想力が今後広がっていくのならば、少し下手な例えを挙げると最強の矛だけだったのが最強の盾も身に着ける、ように面白さの幅が広がっていくのではないかと思っています。

余談になれば、今作の最初のほうを読んであまり笑えないなーと思った人へ送る方法。
これは私がたまたまその状況を作ってしまい大変だったという話になりますが、家ではなく公共の場で読んでみることをオススメします。
例えば電車やバスなどの移動時間、学生の休み時間(漫画の持込みってNGか)や講義の合間などなど。
他人の目を気にして笑えないという状況下において今作の笑いの緩さは相性半端ないです。
これは別段今作に限った概念ではありませんが、笑っちゃいけない状態でって凄い魔力あるなと改めて思いました。
自分はブッと吹き出してしまって周りの人にギョッとした目で見られました。なんかその場からいなくなりたかったです(笑)


総じると、レビューの最初で挙げたような取り沙汰され方をしたので物凄い注目のされかたをしているように思いますが、手放しで大絶賛するほど面白いかと言われるとそうでもないような気も気兼ねとしてあります。あーでも、面白いもんな。
独創性という点も加味すれば傑作なのかも知れません。
まだまだ3巻までしか出ていないので、今後どこまで続くのかでも変わってきますね。
作品の余談をするならば、キリスト教徒、仏教徒の間にも熱心なファンが多いらしく、その筋からファンレターをもらうなんてことも多いようです。
こんな話も聞くと、やっぱり作者がその作品に対してどれだけ真摯に取り組んでいるかって重要なんだなと再認識させられますし、作者の愛が感じられない軽い作品なども今作を読んでいると浮き彫りになって際立って見えてきたりするものだなと感じました。

評価の話を少しさせていただくならば、今作は限りなく万人向けに面白いと感じさせる作品でして4と5の狭間で評価をつけるのを迷いました。個性は確立していますしギャグ漫画としても笑えるポテンシャルは非常に高いわけですが、宗教ネタを扱っている側面や世間的に過大評価され過ぎなのではという反発心(笑)も相まって4に落ち着いています。この辺りはレビュー採点の基準の項目をお読みいただければ趣向という側面でも話がつくとも思っていますので深くは語りません。



奇抜だから面白いというわけではない、作者の作品に対する真摯な想いが作品を面白くするのだと思います。それを肌で感じさせてくれる今作……、是非未読の方は聖☆おにいさんの世界に体を預けてみてはいかがでしょうか?きっと新しい感受性が開いていくはずです。

※このレビューは3巻まで既読時のレビューになります

※新刊レビュー→4巻


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Date:2009/05/29
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