漫画レビュー~遠藤ってば!~

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ソムリエール

                カナの惚れ顔を出し惜しみし過ぎちゃいないかね

■ワインが飲みたくなるうんちく系人間ドラマ■

「ソムリエール」
作:城 アラキ(原作)、松井 勝法
連載:ビジネスジャンプ (集英社)
定価:¥ 540(一部¥ 530)


ストーリー:★★☆☆☆

画力:★★★★☆ 

キャラクター:★★☆☆☆ 

構成力:★★★☆☆ 

遠藤のツボ:★★☆☆☆ 

                              総合:★★☆☆☆

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
両親を交通事故で亡くし、慈善活動家の支援の下フランスの孤児院で育った樹カナ(いつき)。孤児院の後援者の指示のもとでワインの本場フランスの大学の醸造科を卒業するにまでワインとの関係を強く結び付ける彼女。大学卒業後、ワイン造りに励んでいたカナでしたが、そこに自分を育ててくれた慈善活動家からある要求がなされます。東京のあるレストランでソムリエール(ソムリエの女性形)として働くこと……。その指名にはどんな意味があるのか、彼女のソムリエール見習いとしての日々が始まるのでした。

~レビュー~
飲食を題材としたうんちく漫画の一つと思われる今作。本題に入る前にこんなことを言ってしまうのも浅はかかも知れませんが、ワインを題材とした漫画ということだとジャンルが明確な分、既存のタイトルと比較されやすいのかなと思っています。「ソムリエ」「バーデンダー」などは原作者繋がり、最近話題になっている所では「神の雫」などでしょうか。その中で単純に分けるならば神の雫がイケメン主人公を据えて女性ファン獲得を押し広げ、今作が美人主人公を据えて男性ファンの獲得を押し広げているのかもなんて感じてます。いや、どちらも媚びを売るような萌え漫画とは全く関係のない硬派な、というかうんちく漫画としては一定水準を超える形で面白さを提示している作品だとは思っています。ただ、人間ドラマを絡めるのであれば無難な物語展開では惜しいと感じる点も多い、そんなことを感じる作品です。同原作者のバーテンダーのほうがやや評価が高いようなのですが、確かに話の展開や筋は感銘という着目で見ると今作よりは抜かりない出来栄えかも知れません。
そんな前置きも語りながら、実際にあらましを追いつつみていきましょう。





始めに明記しておくと、表紙画像の人物が主人公のカナその人になります。
卒業後は育った施設でこども達とワイン造りに励んでいたカナでしたが、ある日自分を支援してくれていた人物の計らいで成り行きから東京でソムリエールとして働くことになります。そのレストランは以前まではワインでも料理でも評判の高いレストランだったのですが、様々な事情により廃れ始めていたレストランでした。
支配人の片瀬丈(かたせ じょう)は日本でも随一と言われるほどの天才的なソムリエでしたが、諸事情によりやる気一切なしといった出で立ちです。

うほっ良い男

新人で見習いソムリエールのカナがレストラン「エスポワール」の一員になることで新しい息吹が注入、以降はカナの成長とエスポワールでの日常、ワインと人との人間ドラマが展開されていきます。
イメージだけが選考してしまうと、可愛い女性が主人公だから色々とあるんでしょう?そのあ・た・りなんて想像で読み進めてしまいがちですが注意。実は私もそのような期待を少なからずしてしまったうちの一人なのですが、物語は色恋沙汰はまぁーーーーない。

恋愛脳乙

7・8巻辺りから仄かに主人公周りでそういった要素もチラと出ますが、煮え湯を飲まされるような出し惜しみ方で逆効果です。別に色恋沙汰がないから駄目だなんてことはもちろん言うつもりはありませんが、そういう要素も巧く組み合わせなければ作品の魅力は推し上がらないんじゃないのかなと今作を読んでいると感じます。
物語はワインの知識が全くない人にも配慮しつつ、悩みを抱えたお客がお店に来店しカナがワインを提供。お客はそのワインを飲んで悩みが解決というパターンを芯に据えて人間ドラマが硬派な形で連なっていきます。
原作者が同じ前作「ソムリエ」をご覧になっている人にとっては、主人公が女性に変わっただけの二番煎じといった印象は否めないかも知れません。
逆にワイン漫画を初めて読む層にとってはワインの知識がない人にも飲んでみたいと思わせるエピソードやうんちくは率直に面白いと感じるだろうなと思います。
物語が終わり次のエピソードに行く前には合間のページにそのエピソードで扱ったワインのデータと解説が提示されたりもするので、「あ、買ってみようかな」なんて思ったりもするかも知れません。
それほどにはワインに興味がない層にも興味を持たせてくれるようなストーリーだと思います。
しかし物語の構成は良く言えば広義に配慮した丁寧な作り、悪く言えば起伏の感じられない平坦な物語と言えるかと。
新人スタッフであるカナがお客を満足させる、周りのスタッフはこいつ何者!?みたいな節はありますが、それを読者が読んでいてその展開に爽快な気分になるかと言われると否。
ストーリーが地味というか淡々としているので総じて読者が爽快な気分になるというような良さは感じられません。
この手のうんちく漫画ではうんちくに興味をもってそのジャンルで扱われている事象に興味を持たせられればそれで成功なのかも知れませんが、そこに漫画本来の物語として読者を熱中させる良さがなければ本当の意味での秀作、傑作にはなっていかないと思ってます。
そういった点では今作は非常に惜しい。
ストーリー性や読者へ教訓などを絡めて物語としての質や良さを提示するという面では同原作者で連載中の「バーテンダー」のほうが一枚上ということはあるのかも知れません。

ただし今作も巻数が重なるにつれて1話1話での物語として痺れさせるようなストーリーもちらちら見えるようになってきているとも感じています。
そこに物語の一つの核となっているカナの父の秘密やカナを支援してくれている謎の活動家の秘密が巧く合わせってくれば3~の作品になってくるのかなと現時点では私のなかではそのような評価になっています。

そうそう、言い忘れていましたがカナの父親はワインに携わる者のなかでは有名な人物だったようなのですが、かたや詐欺師だと言われていたりかたや一目置かれていたりと謎の人物です。
父のことを探求していくカナとそれに何か繋がりがあるのではないかと思われる自分を支援してくれる謎の支援家との絡みがストーリーの根幹にあります。
ただ現時点ではほんとーーーに作品そのものに深く関わってくる要素ではないので、その辺りでも物語としての深みはなかなか出てきません。

作品として間延びしている感覚は否めず、それを補う為の心を震わすような名エピソードもあまりなく、だからといって恋愛パートのようなものも進行しているかと聞かれるとそこもなし。
色々な面で惜作と言わざるを得ないという印象です。

恋愛に疎いカナというようになっているようですが、疎いというように物語の要素として意識しているのであればサービスカットってわけではありませんが、色恋沙汰を入れてなんぼだとも思うのですが、その辺りはどうなんでしょうか。
オタクに媚びろと言っているわけではありません。
恋愛要素は作品の停滞からの脱却の起爆剤になるはずなのにな、というようなことを思うわけです。
カナの性格自体も物怖じせずハッキリと自己主張したりする性格なので、その点が鼻につくと読んでいて思われる方ももちろんいると思うんですよね。
特にワインに関してはお客に説教染みたことをしてしまうこともしばしば。
良い意味で田舎くさい演出を性格からにじみ出させることには成功しているようにも思いますが、いくら何でもそれでいて恋愛面がなしでは女性層からも男性層からも支持されにくくなってしまっているんじゃないかと。
時折恋愛っぽい話が仄めかされて顔を赤らめるカナの破壊力は充分なポテンシャルを持っているとは個人的に思います。
そのポテンシャルを存分に発揮してくれぃ!(;´Д`)と思う反面、下手に恋愛要素が強く作品に入ってしまうと作品としての空気がぶれるとの判断であえて避けているのかなというようなことも感じたり。
この辺りは読む人によって感じ方は色々になるのかも知れません。

単行本では毎度巻末にて展開される特別編のお話は個人的には活路を見いだせる内容です。
カナがフランス在住の頃にワインショップで働いていた頃のエピソードが毎回展開されるのですが、そこのマスターとカナ、そしてカナに惚れているジャンという青年を中心にコメディ要素強めで展開される作品の息抜き的なポジションの特別編。
読む人によっては巻末の最後で茶化されたようでいらない要素だと思われる方もいるようですが、私としてはそこに活路を感じていたりします。
ジャンという青年がこれまた憎めない好青年でぶっちゃけカナと恋仲になっちゃってもいいんじゃないかって思うんですよね。
当の本人のカナは軽くあしらってたりするんですが。
この過去の話を少し切り詰めて現行でジャンを登場させて恋話やりゃいいじゃん(´∀`)とか言ってしまったら恋愛脳乙になるんでしょうが。

現在レビュー時点での10巻ではマンネリ感が強くなってきていることも感じていますし、私自身も惰性で買い続けているような側面ももちろんあります。
9巻辺りからライバルともいえる存在の登場人物も出現してきたので、その辺りで作品の停滞感をほっくり返してくれることは期待していますがどうなることやら。
けれど恋愛要素も本筋の物語の展開もまだまだでの現在なので、今後化けていく可能性は大いにある作品だと思っています。

いっそのことあのマイペースなカナのことが好きな女性とかの出現で強引に百合展開にもってけばいいのに

心の声は置いといて、物語の面白さの安定感もエピソード毎に出てくるようになってきているので、安定期に入っている作品ともとれるのかも知れません。

初期の頃の物語や展開の演出は荒いというか甘いので、それで読むのを諦めて(止めて)しまう人もいるかも知れませんが尻上がりに作品の精度そのものは上がっていくのでまずは続けて読まれることを勧めます。

情緒的に感慨に浸れるようなエピソードもちょこちょこ挟まれるので、そういうのが好きな人にはピタッとはまる作品かも知れませんね。
私の中では続きを渇望するほどではないにせよ、続巻が発売されるのを楽しみに待っている作品の一つです。
恋愛脳の管理人の判断ということで低い評価になってしまっているかも知れませんが、一般的に見つめるならば3でもよいのかなぁとも。この辺りは微妙なラインです。再三言っていることになりますがこの評価は目安程度でガチガチに捉えていただく必要性は全く無いので。


一本のワインにかけられた想いが交錯し、それを繋ぐソムリエールのカナ。


皆さんもこれを機にワインの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?
余談ですが、月に何本も空けるようなことになると金銭面も心配になってきます。安くても自分の口に合うようなものが多いですが、やっぱり私は日本酒だなぁ。
などということも思いながら、毎年のボジョレーヌーボー解禁の季節しかワインを思い出さないような人には、是非ともこの機会にワインへの関心を高める良い機会として漫画の世界からワインに触れてみることをオススメ致します。
自分の世界を広げる意味でもうんちく漫画というのは興味深いというか面白いものだなと改めて感じました。

※このレビューは10巻まで既読時のレビューになります


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Date:2009/06/30
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