漫画レビュー~遠藤ってば!~

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オトメン(乙男)

                都塚さんが何キャラなのか気付けば評価はうなぎのぼり(レビューで後述)

■乙女心の男子学生という気運を掴んだ流行作■

「オトメン(乙男)」
作:菅野 文
連載:別冊花とゆめ (白泉社)
定価:¥ 420(一部¥ 410)


ストーリー:★★★★☆

画力:★★★★☆ 

キャラクター:★★★☆☆ 

構成力:★★☆☆☆ 

遠藤のツボ:★★★☆☆ 

                              総合:★★★☆☆

※詳しい評価基準はこちらの採点項目をお読み下さい


~あらまし~
高校2年にして柔道初段、空手2段、更に剣道で全国制覇を果たしている剣道部主将・正宗 飛鳥(まさむね あすか)は周りからは、「男の中の男」と評判。幼い頃に父が女になりたかったことを告げ失踪、それから母のトラウマもあって男らしさを磨かれながら育ってきました。しかし、遺伝子からは逃れることは出来ないのか、彼もまた料理や裁縫から始まって乙女チックな趣味・思考・特技を持つオトメン(乙男)だったのです。そんなある日のこと、転入生の都塚 りょう(みやこづか りょう)に一目惚れしてしまった飛鳥の命運は如何に!?

~レビュー~
前置きですが、先月末に8巻が発売され、日付はまたいでしまいましたが8月1よりテレビドラマ化もされたというわけで、これ以上ない機会でもあると思うので今更ながらレビューをさせていただきたいと思います。
今までレビューに踏み切れなかった理由というのはいくつかあるのですが、それが今作のヒロインとなる都塚さんの存在でした。
彼女の意図が見えてこない、恋愛漫画として展開が進んでいくことはあるのだろうか?
それが見えてこないだけに安易にその時点でのレビューをしたくはありませんでした。
それが7巻を経て今回発売した8巻にて自分なりに落とし所を作ることが出来たので、その辺りにも触れつつ好機会ということでレビューを。



さて、前置きは終わりにして、まずは概要から確認していきましょう。
今作のコンセプトは実にシンプルで、乙女心を内に秘める男子、大枠として学生の男子をオトメン(乙男)と作中のキャラの言葉を借りて位置づけ、乙男という切り口を土台に少女漫画が展開されていきます。
主人公の飛鳥はもちろんその典型例ですが、登場してメインキャラとなっていく多くの男子学生もまた乙男としての素質をもっています。
思えば最近でこそ今作の影響で乙女心を持つ男性がクローズアップされてはいますが、実はこういった趣向の男性は昔からいたように思います。
それこそ少女漫画が大好きでちょっと頭の中がお花畑みたいな男子学生など私も含めて10年程前にも潜在的には多くいたことだと思ってます。
料理が好きで得意な男性も最近でこそ一つのステータスのようになっていますが、姉や妹の影響でお菓子作りが趣味になっていたなんて男子学生も昔からいたことでしょう。
現に私の友達でもそういうのが学生時代いました(笑)

しかしそれがメディア的に大きく取り上げられることというのはこれまで少なかったのかなと思います。もちろんこれは私の体感なのでそうじゃないってことももちろんあるかも知れませんが。
そんな気風の中で2006年から連載が始まったのが今作です。

イケメン&美女で繰り広げられる乙女な雰囲気にスポットをあてた学生生活とくればその個性によって人気が出てくるのは当然のことで、今回テレビドラマ化という形で一つの到達点は見せましたが、1~2年前にその人気は不動のものになっていたように思います。


さて、あらましの続きをみていきましょう。
文武両道で男女からの人気も高い孤高の人と思われていた飛鳥でしたが、実体がオトメン(乙男)ということでそのギャップは良い具合に読者の心に沁み込むといってよいでしょう。
とにかく可愛い。
まず女性が読んでメロメロになるのは当たり前として(中には肌に合わないって人ももちろんいるでしょうが)、男性が読んでも同性としての描写に嫌味がないというのは非常に大きな要素です。
前々から言っていることではありますが、少女漫画において男の描写が独特で慣れないという側面があるように思ってます。
それを顕著な形ということで俺様キャラとして以前にも話したことがありますが、今作においてはそもそもが乙女チックな男性という視点であるため正反対なキャラ立ちということが言えるでしょう。
最初の設定として男性描写に抵抗感を与えることがないという土台を築いているのは題材を選ぶセンスを含めた作者の機転の勝利という気兼ねを感じます。

孤高と思われている飛鳥なので親しい友人というのもいないのですが、深く知られることで自分の乙女趣味がばれてしまうという点にこの構図を作り出す巧さは流石。
存分にメインキャラとなっていく一風変わった人物を飛鳥と結びつけることに成功しています。
これが本来物語りが始まる前からいたキャラという設定で強く絡んでくる人物がいると乙女心の描写を表現することが難しくなってくる面もあると思われるので、あえてキャラの深みよりも設定を深める為の構成を保っているのも特徴を生かしていて◎。

物語は転入してくるヒロイン・都塚さんに飛鳥が恋をしてしまうことで幕を開けます。
作者曰く、この都塚さんは少女マンガにおける物凄く鈍感で天然なかっこいい男の子というコンセプトがあるようで、男性的なスキルには非常に秀でているけれども家事全般は壊滅的にひどいという設定の女の子です。
飛鳥とは正反対ということで、ここから飛鳥と都塚さんは恋仲になれるのか!?というようなものが作品の本質を支えています。
とりあえず人物を確認しておくならば、上記の表紙画像にて右の人物が飛鳥その人で、左の人物が都塚さんになります。

都塚さん可愛いよ都塚さん

出会いから飛鳥を肯定的に素直に受け入れる都塚さんを見ていると、どっちが男だかわからなくなってくる(笑)みたいな良さが安定して巻を続けて描写されます。
その中で二人の恋仲を取り持っていくことになるのが飛鳥の相棒と言っていいでしょう、橘 充太(たちばな じゅうた)の存在です。
実は飛鳥愛読の少女漫画作品の原作者ということで、この充太も生粋のオトメン(乙男)。
ちょっとお姉っぽくて一見すると(;´Д`)うぇ…となるのですが、味のある人物でその辺りは読み込んでいけば慣れることと思います。作者曰く、唯一の常識人ということで読者の想いや思考を代弁する意味では良いポジション配置です。
また、飛鳥のライバルとなる多武峰 一(とうのみね はじめ)の存在も○。
数巻進むと停滞的な内容にダレが出てくるのですが、そこで投下されるキャラこそ多武峰です。
プロのメイクアップアーティスト顔負けのメイクテクを持つオトメン(乙男)なのですが、プライドの高い様は一見すると俺様キャラ。
オトメンであるからこそ嫌味のない人物に仕上がっているのは流石で、男性描写が巧い少女漫画は抜かりが無いのを改めて感じさせてくれるキャラに私の中ではなりました。

他諸々、個性的なキャラを中心とした乙女的学園生活の数々。



しかし良い面ばかりでもありません。
主に2つの視点で読む者にとってはマイナスになったり読むのは止めてしまう要因になる事象があるように思ってます。
まずBL臭さからくるあれこれ。
私が読んだ限りでは過度な雰囲気は見られなかったので、一概にそのジャンルで出てくる弊害のようなものは感じませんでしたが、オトメン(乙男)が寄り添うという構図はどうしても甘ったるいそれを見受けてしまう面はあります。
オトメン(乙男)それ自体の描写にスポットがあてられていて、人物自体の葛藤だったり人間臭さだったりキャラの深みはオトメン要素頼りで「弱い」ということも感じました。
当作品は3の良作という位置付けですが、これが秀作・傑作となっていくには要素に頼らない人物の深みの描写が必要不可欠とも思います。
良くも悪くも心得ているということでしょうがパンチが効いているか聞かれれば否で、読む人にとっては途中で読むのを止めてしまったりするタイプの空気を含んでいる作品かなと思います。
そして次の要素がヒロインである都塚さんの存在と厳密に言えば飛鳥の想いの描写に見られるあれこれ。
今回のレビューで一番話したいのがこの点で、ようするに恋愛漫画として見た場合に今作がどうなのか?って点です。
まずオトメン要素に頼った人物作りの弱さは上記で挙げた通りなのですが、これは主人公の飛鳥にも例外なく当てはまります。
何故、都塚さんを飛鳥が好きなのかの描写が弱い。
というより言い換えれば内面の感情の起伏が繋がってこないので、読んでいて満足感を得られにくい。
そしてその想いを向けられる都塚さんですが……、

キャラが見えてこない

言い換えるならば、

キャラとして薄味過ぎる

どういうことかと言うと、裏表のない鈍感で天然キャラというのが行き過ぎな面があるということです。都塚さんの発する言葉には中身がないというか人間味が薄いんですね。
言い換えるならば極限までに鈍感と天然要素を突き止めたキャラとも言えるのかも知れません。
これが次第に巻を追う毎に内面の描写もされていくのならばめしうま描写にもなっていくのですが、この性格付けは徹底されており、いつまで立っても乾いた感じしかしないんですね。

主人公とヒロインがこんな状態であったら何が起こるか。
無機質な所からは何も起こらないんですよね。
それを表したように大きな波もないままに巻数は続いていきます。

なんて惜しいんだ……。

そんなことを強く想う巻が続いていたのですが5巻、6巻、7巻辺りを追う毎に何か自分の中で変わってきたのに気付きました。
そして8巻で確信、あぁこれは己で感じ取る想いを膨らませる形の萌え悶え漫画なのだな、と。

何のこっちゃという話なのですが、都塚さんをどう見ていくかなんだなと。

都塚さんは飛鳥のことはもちろん好きなのですが感情や心情としてそれを直接伝えるようなことはしないのは上記で挙げた文面を見ていただければお分かりになると思います。
しかしわずかながら変化があるのもまた然りなんですね。
でもその変化は微々たるもので、その変化で萌え悶えるってことはまず7巻目まででは出来なかった。
けれど7巻の引きから8巻の収束を読んでいて思いました。

だがそれがいい

言い換えれば読み手の想いを膨らますことの出来る描写にまでは飛鳥と都塚さんの関係が育まれてきたということでしょうか。
内容としては実際に8巻まで読み進めていただく他ありませんが、最初の数巻で絶対に停滞を感じてしまうでしょう。
ただそれを超えて是非とも読み進めて欲しい、そう強く思うものがこの8巻を読んでいて自分は感じました。

末恐ろしいとはこのことで、実はまだ二人の関係はキスをしたりなどもないのですがこれキスとかしちゃっただけでどうなるんだろうってのがあります。
あれ?まだしてないんですよね。してたらすみません(笑)
っていうかした瞬間作品終わってしまうんじゃないかってくらいに恋愛面の進みは全くないですね。
それに飛鳥へのアクションとしては都塚さんは笑顔で応えるばかりで顔を赤めるってことはまずほとんどない。
これが8巻を起点として今後どんどん挟まれるようなことがあったとしたら……そう考えると本当に恐ろしい(萌え悶え的意味で)。




そろそろまとめましょう。
8巻では飛鳥のオトメン(乙男)生活への危機も引きで入りつつのフェードアウトだったのですが、その危機に瀕して都塚さんとの関係が進むようなら評価は自分の中では推し上がります。
同じような停滞感が戻っていつもの「オトメン(乙男)」に戻ってしまうようなら残念です。
オトメン(乙男)としての要素がほぼ表現し切れた今、作品としての、恋愛漫画としての妙に如何に切り替わっていけるか。
それに懸かっているターニングポイントを迎えた作品、そう思います。
本題の一つとされている父の消息などストーリーが動くきっかけになる要素と恋愛面が進んでくれば申し分ありませんが、さてはてどうなることでしょうか。
期待度は高い状態で、次巻を待つ作業に戻りたいと思います。

※新刊レビュー→9巻

※このレビューは8巻まで既読時のレビューになります


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Date:2009/08/02
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